今回は体脂肪の基礎知識について解説していこうと思います。
こんな人に向けて書いています
- 体脂肪の基礎を知りたい方
- ダイエットを成功させるためのヒントを得たい人
「体脂肪」と聞くと体重を気にしている人にとってはネガティブな印象を持っている人も多いかと思います。しかし、脂肪というのは生命維持をする上で栄養を蓄える倉庫であり、体温の保温効果があるという重要な役割を担っているものです。
もちろん、体脂肪が増えすぎてしまうと所謂「肥満」となってしまい、動脈硬化や心筋梗塞などの血管系疾患の原因にもなるため、体に良いことばかりではありません。
そこで、体脂肪の基礎知識を身につけ、健康体を手に入れるためのダイエットプランや食事メニューを考える一助にしていきましょう。
体脂肪の基礎知識
体脂肪とは
そもそも体脂肪とはなんでしょうか。なんとなくステーキの脂身のような脂肪が人の体にも付いていてそれを指していることはイメージできるかと思います。一般的に人の体というのは水が60%を占めており、筋肉繊維や内臓・骨が23%、残りの17%が体脂肪と言われております。もちろん性別や年代によって割合は異なります。
ダイエットをするというと、この17%の体脂肪を減らすことが一つの目標になるかと思いますが、この体脂肪は実は生命活動を行う上で三つの重要な役割を担っています。これらの役割がなくなると生きていく上で様々な支障が出てきます。
一つ目が「栄養を体内で貯蔵する」です。現代では基本的に食料にたどり着くことができないということはほぼないかと思いますが、狩猟採取時代にはそもそも食料が安定して入手することが困難であったため、体内にエネルギーを蓄えておくことで、ある程度食べてない日が続いたとしても生命活動を維持するための機能が体脂肪という形で備わっているわけです。また脂肪は1gで9kcalのエネルギーを持っています。
二つ目が「外気から身を守り体温を一定に保つ」です。体脂肪には断熱効果があり、外気に依らず体温を一定に保つコートのような機能を持っています。
三つ目が「外部からの衝撃を受け止める」です。体脂肪は内臓と皮膚の間に蓄えられるため、外部からの刺激を受けた時に直接内臓に衝撃が伝わらないように体脂肪が緩衝材のような機能を果たします。
食べたものが体脂肪になるまでの流れ
食べすぎたり飲みすぎたりすると体脂肪が増える、というのはなんとなくイメージできている人が多いかと思いますが、どのような流れで「食べたものが体脂肪として蓄積されているか」「体脂肪が消費されるまでの流れ」を理解することが、体脂肪をコントロールするためにも重要になってきます。
まず、食べたものが体脂肪として蓄積される流れは下記の通りです。
- 1.食べ物を分解する
- 食べ物は体内に取り込まれるとアミラーゼやペプシンのような消化酵素によって分解がされます。炭水化物(糖質)はブドウ糖に、脂肪は脂肪酸に、タンパク質はアミノ酸に分解されます。
- 2.分解した栄養素を吸収する
- 分解された栄養素は基本的に小腸の腸壁から吸収され血液中に送り出されます。
- 3.活動エネルギーとして消費される
- 一部の血液中のブドウ糖は活動エネルギーとして体の各所で消費されます。
- 4.筋肉・肝臓に蓄積される
- 活動エネルギーとして使われなかった場合は筋肉や肝臓でグリコーゲンとしてある程度蓄積される
- 5.体脂肪になる
- それでも余った分については脂肪細胞に中性脂肪として際限なく蓄積される。
上記のようにエネルギーは「血液中」→「筋肉・肝臓」→「体脂肪」の順に蓄えられていきます。
体脂肪として蓄積されるのは最後のため、そこまで体脂肪にはならない印象を受けますが、実際に活動エネルギーで消費されたり、筋肉・肝臓に蓄えられるエネルギー(グリコーゲンやタンパク質)量はそこまで多くないため、容易に脂肪細胞までエネルギーが届き、中性脂肪として蓄えられます。
逆にエネルギーが必要になった(消費)時は「血液中」→「筋肉・肝臓」→「体脂肪」の順に消費されます。
つまり、体脂肪を消費して減らすためには、筋肉・肝臓に蓄えられたエネルギーを使い果たし、脂肪細胞のエネルギーをつかわざるを得ない状態にしないといけないというわけです。
そのため、5分から10分程度の有酸素運動等の軽い運動では脂肪細胞のエネルギーを消費するまでには至らないため、本気で脂肪を消費するためにはある程度の時間をとって運動することが必要になってきます。
また、体脂肪を減らすために、糖質制限ダイエットのような食事を制限するのは一つの手段ですが、運動はせずにエネルギー摂取を減らすと筋肉や肝臓などのエネルギーが分解され基礎代謝が低下してしまうため、そもそも痩せづらい体になってしまいます。そのため、体脂肪を減らしたい方は食事コントロールに加えて運動は必ず行いましょう。
内臓脂肪と皮下脂肪
体脂肪は「内臓脂肪」と「皮下脂肪」に大別することができます。
名前の通り内臓脂肪は内臓の周りにつく脂肪で、皮下脂肪は皮膚の下につく脂肪になります。先に説明したように体脂肪には役割が存在しており、内臓脂肪と皮下脂肪もそれぞれ別の役割を担っています。
内臓脂肪は内臓の周りにつくことで内臓が移動しないように固定する役割を持っています。お腹周りに内臓が集中していることもあり、内臓脂肪が増えると中年男性に多いぽっこりお腹になります。
皮下脂肪と比較して活性度が高くエネルギー吸収・放出されるため、「つきやすく落ちやすい」という性質があります。
皮下脂肪は体脂肪の役割にもあった外気や体にかかる衝撃を受け止める役割を持っています。体全体が太って見える場合はこちらの皮下脂肪が増えていることが原因となっています。
お腹周りや二の腕、お尻などのあまり使わない部分に溜まりやすいと言われています。内臓脂肪と比較して活性度は低いため、「つきにくく落ちにくい」という性質があります。
最後に
まとめ
- 一般的に人の体というのは水が60%を占めており、筋肉繊維や内臓・骨が23%、残りの17%が体脂肪
- 脂肪は1gあたり9kcalで糖質やタンパク質よりエネルギー効率が良い
- 生命活動を維持する上で三つの役割を果たしている
1.栄養を体内に貯蓄する
2.外気から身を守り体温を一定に保つ
3.外部からの衝撃を受け止める - エネルギーは「血液中」→「筋肉・肝臓」→「体脂肪」の順に蓄えられ、「血液中」→「筋肉・肝臓」→「体脂肪」の順に消費される
- 体脂肪は簡単には減らないので着実に減らしたい方は食事コントロールに加えて運動は必須
- 体脂肪は「内臓脂肪」と「皮下脂肪」に大別することができる。
プロポーションを良くしたいという人からすると脂肪というのは忌み嫌われがちです。
しかし、脂肪は生命活動を行う上で重要な役割を果たしています。
現代はデリバリーなどの便利なサービスによって、外に出なくても直ぐ食べ物に辿り着くことができるため、気づいたら体脂肪がお腹周りに沢山付いていた、と言うことも少なくありません。
食べ過ぎや運動不足に注意して体脂肪をコントロールすることで、健康体を維持していきましょう。