前回に引き続きタンパク質の基礎知識について解説していこうかと思います。

【アミノ酸一覧あり】ダイエットを本気で成功させるためのタンパク質基礎知識

今回はタンパク質の基礎知識について解説していこうと思います。 20代を過ぎて代謝が落ち始めてから太り始めてしまい、なんとかして痩せようと考えたことがある人は多いの…

上記ではそもそもタンパク質の役割やアミノ酸との関係、植物性タンパク質と動物性タンパク質について説明しています。今回はタンパク質を取ることで健康や美容にどのようなメリットがあるのか、またどれくらい摂るべきなのかを深掘りしていこうと思います。

健康や美容にタンパク質は関係しているのか

筋肉を増やすと太りづらい体になる

タンパク質というと筋肉をイメージするかと思いますが、実際にタンパク質を合成して生成される筋肉は多い人の方が少ない人よりも1日に使うエネルギーが多いため、太りづらい体になります。

筋肉が増えると基礎代謝が上がると良く聞くかと思いますが、あれは筋肉量を維持するために全体の2%ほどの筋肉が生まれ変わっており、その際にエネルギーを消費するためです。具体的には1kgで540kcalものエネルギーを必要とています。

例えば筋肉量が10kgと20kgの人では1日に生まれ変わる筋肉量の差は0.2kgになります。つまり筋肉量の差だけでも1日に108kcalものエネルギー消費量に違いが出てくるというわけです。体脂肪というのは80%が脂質、20%が水分であることから単純計算で1kgあたり7200kcalのエネルギーを持っています。したがって同じ生活をしていたとしても筋肉量の多い人は少ない人と比較して2ヶ月で約1kg、1年で5.5kgも多くの体脂肪を燃やすことができているというわけです。

ダイエットする人の過ちとして、過度な食事制限をする ' 人がいますが、適切に行わないと筋肉量が落ちるため基礎代謝が落ちるため、痩せづらい体になったり直ぐにリバウンドしてしまう原因になってしまいます。そのためダイエットしたい人は運動と食事をセットにして行うようにしましょう。

筋肉量10kgの場合

1日の消費エネルギー:108kcal

筋肉量20kgの場合

1日の消費エネルギー:216kcal

1年で39,420kcal(約5.5kgの体脂肪分)の差がある

肌を綺麗にするのは化粧水ではなくタンパク質

タンパク質は筋肉を作るものというイメージが強い方も多いかと思いますが、それ以外にもタンパク質は、血管や内臓、皮膚や髪、爪などの体の大部分がタンパク質でできていることがわかっています。つまりどれだけ良い化粧水を使っても肌を作る原料であるタンパク質が不足していては美肌を維持することは難しいということです。

また、化粧水で「コラーゲン配合」と記載されているとつい美肌の成分と思いがちです。確かに肌の真皮と呼ばれる肌のハリと弾力を生み出している繊維の大半はコラーゲンではありますが、表面上から塗布したらそのまま肌のコラーゲンになるかと言われるとそういうわけではありません。

食品でも同様で、コラーゲンはそのまま体内に取り込まれるわけではなく、吸収するためにアミノ酸に分解されます。結果として肌のコラーゲンとなったり筋肉の合成に使われるため無駄というわけではないですが、良質なタンパク質を多く含む自然食品を摂取する方が効率的に肌のコラーゲン合成をしてくれます。

また、コラーゲンを生成する際には鉄とビタミンCが必要になるため、ブロッコリーやレバーなどの食品と合わせてタンパク質を取るとより効果的になります。

もちろん紫外線対策や保湿をするということは重要なのでその対策としてクリームの使用はしたほうが良いでしょう。

1日に必要なタンパク質

それではどれくらいのタンパク質をとれば良いかという事ですが、基本的に1日に「体重×1.2g」のタンパク質摂取が基準になります。体重60kgの人であれば72g、40kgの人であれば48gです。これは性別や年齢、日々の運動量によって異なってきますが、皮膚や筋肉を日々合成するためにもこの量は必要になります。

意外と少ないと感じている方もいるかもしれませんが、パンやパスタなど炭水化物が中心の好きなものだけを食べていると必要なタンパク質摂取量に届かないことが多いにあります。

1番良いのは良質なタンパク質を多く含んでいる鶏肉やブロッコリーを日々の生活で摂取することですが、好きなものを食べつつタンパク質も合わせて摂りたいという方にはプロテインをお勧めします。

プロテインというと筋トレしている人が飲んでいるイメージがありますが、タンパク質を必要量摂取するという点においては、筋トレしていない女性の方でも摂ると良いでしょう。

【ダイエットしたい向け】プロテインの飲み方と種類について

今回は「プロテイン」について取り上げてみようと思います。 おそらく多くの人はプロテインというと「筋トレしてるマッチョが摂ってるやつ」というイメージが強いかと思い…

タンパク質にまつわる予備知識

カタボリック・アナボリックとは

体のエネルギー源には糖質、脂質、タンパク質の三つがあり、その中でも糖質はエネルギー消費の中心的なエネルギー源です。ただし、糖質の供給が追いつかないと脂質やタンパク質といったエネルギー源を利用して体を動かすようになります。

つまり筋肉を構成するタンパク質をエネルギーに変えるために分解されて利用される現象が起きます。これを「カタボリック」と言います。このカタボリックが起きている状態で運動をすると筋肉が分解されてしまい、逆効果となってしまうことがあります。マラソン選手がマッチョではなく細い人が多いのはこのカタボリックが発生していることが一つの要因です。

逆に血中アミノ酸濃度が上昇して筋肉が合成されることを「アナボリック」と言います。

人はこのカタボリックとアナボリックを繰り返すことで筋肉の代謝を図っています。ここで問題となるのは糖質制限などをすることでエネルギー不足となると、比重がカタボリックに偏ってしまい、筋肉の分解が進んでしまうことです。

つまり、カタボリックを防ぎつつアナボリックを促進させることが筋肉量を増加させて痩せやすい体にするために重要となってくるわけです。その上で下記のようなことを意識しておくと良いでしょう。

  • 運動前には十分なエネルギーを摂取しておく。(カタボリックの予防)
  • コンスタントにタンパク質を摂取して血中アミノ酸濃度を上げる(アナボリックの促進)
  • 長時間にわたる運動を控える(カタボリックの予防)

カタボリック

エネルギーとして利用するために筋肉をアミノ酸に分解すること

アナボリック

血中アミノ酸濃度が上昇して筋肉が合成されること

運動後のアルコール摂取は控える

運動後にタンパク質を摂ると良いと良く言われますが、それは運動後に体内でのタンパク質による筋肉合成率が高くなるためです。この合成率が高くなるほど摂取したタンパク質を効率的に吸収して筋肉に合成するようになります。

つまり、運動した後にタンパク質を摂ると効率よく筋肉に変換することができるため、「運動後にタンパク質を摂ると良い」のですが、ここで注意すべきことがあります。それはアルコール摂取です。

アルコールが筋肉合成に与える影響について調べた研究では、運動後にアルコールを摂取すると筋肉合成率が30%低下することがわかっています。せっかく運動で上げた合成率もアルコールを摂取するとその効果はかなり低下してしまうことがわかります。

その原因としては肝臓が関係しています。というのもアルコールの分解(アルコール→アセトアルデヒド→酢酸)とタンパク質の合成(アミノ酸→タンパク質)はどちらも肝臓で行われています。そのため、アルコールを摂取することでアルコールの分解によって肝臓に負荷がかかるため、タンパク質の合成が阻害されるのが一つの要因になります。

運動後のご褒美としてついお酒を飲みたくなってしまうかもしれませんが、せめて甘いものなどで我慢しておくことで後々大きな差を生み出すことになるかと思います。

最後に

最後にまとめです。

まとめ

  • 筋肉は多い人の方が少ない人よりも1日に使うエネルギーが多いため、太りづらい体になる。
  • 肌を綺麗にするのは化粧水ではなくタンパク質
  • 基本的に1日に「体重×1.2g」のタンパク質摂取が基準
  • 筋肉が分解されてエネルギーとして利用されることを「カタボリック」と呼び、筋肉が合成されることを「アナボリック」と呼ばれる。
  • 運動後にアルコールを摂取すると筋肉合成率が30%低下するため、運動後のアルコール摂取は控える。

ダイエットを成功させる上でカタボリックや基礎代謝低下などいくつかの落とし穴があることを知っておくことは重要になります。タンパク質はそのような落とし穴にはまらないための栄養源であり、適切に摂取することでダイエット成功の鍵となることかと思います。ぜひタンパク質を意識した食事と運動を生活に取り入れてダイエットを成功させましょう。