今回は人生を変える超効率的運動法ついて解説していこうと思います。
こんな人に向けて書いています
- 運動して健康になりたいと思っている
- 最近うつ気味と感じている
- 脳を成長させたい
- 短時間で出来る効果的な運動法を知りたい
みなさん運動はしていますでしょうか。厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」によると、運動習慣のある人(1週間に30分の運動を2回以上1年間継続している人)の割合は、男性が33.4%、女性が25.1%となっており40代までは運動の習慣が減少する一方で、健康を意識し始める50代以降では急激に増加しています。
「健康になりたければ運動しなさい」と良く言われていますが、運動することがはなぜ健康に良いのかご存知でしょうか。今回はその運動が健康に良いと言われる9つの理由についてみていきましょう。
運動が健康に良いと言われる理由
肥満を防ぐ
一つ目は当たり前の事かと思いますが、「肥満を防ぐ」です。これを目的として運動をしている人が多いかと思いますが、運動すると余計な脂肪がつきづらくなります。
厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」によると肥満(BMIが25以上の人)の割合は、男性が33.0%、女性が22.3%となっており特に男性は働き盛りの40代、50代に多いことが下図よりわかります。
肥満は心疾患系や血管系に悪影響を及ぼすだけでなく、脳にも害となり得ます。とはいえ、運動したから太らないというわけではありません。平たくいえば
1日の摂取カロリー > 1日の消費カロリー
となればその差分カロリーは体内に蓄積されて脂肪となります。運動はこの右側の消費カロリーを上げることで1日の摂取カロリーを超えることが一つのラインとなります。
とはいえ、目先の消費カロリーを増加させるという点ではかなり大変です。
例えばおにぎり1個分のエネルギーを消費したければウォーキングを1時間しなければならないため、痩せたいという目的だけを果たしたいのであれば、1日の摂取カロリーを抑えた方が幾分効率は良いと感じるかと思います。
ただし、長期的に見ると基礎代謝が上がるため、1日の消費カロリーのベースアップが期待できます。この基礎代謝というのは筋肉量を増やすことで向上するため、継続した運動が重要となってきます。
免疫力を高める
二つ目は「免疫力を高める」です。加齢やストレスで体の免疫力は低下していきますが、運動にはこの免疫力の低下を阻止するだけでなく、高めてくれる効果があります。
運動をすると細菌やウィルスと戦う抗体やリンパ球を活性化し、がんのような病気に素早く対応してくれます。
国立がん研究センターの研究によると男性では、結腸がん、肝がん、膵がん、女性では胃がんにおいて、身体活動量が高い人ほど、リスクが低下することがわかっています。
また免疫力には、酸化したりして傷ついてしまった組織を修復する細胞の活性化を促す効果もあるため、そのはたらきが低下すると傷が悪化し、慢性的な炎症が起きやすくなってしまいます。
運動をすると、免疫系のバランスが向上して、病気を予防し、炎症が起きづらい体を作ってくれます。
科学的根拠に基づくがん予防 〜がんになるリスクを減らすために〜
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
ストレス耐性を高める
三つ目は「ストレス耐性が高くなる」です。
人はストレスを受けることで体の中でコルチゾールと呼ばれる長期間作用するストレスホルモンが産出されます。
このコルチゾールは注意力や記憶を喚起し、脳が障害となるものを乗り越えるために重要となるホルモンです。
狩猟採取時代には生命の危機を感じた時に逃れることができるように、その時の出来事を覚えておくことが生存する上で必要不可欠でした。
この時にコルチゾールが分泌されて記憶への定着を図り、同じような場面に遭遇した時でも適切に対応することができます。
一見すると良いホルモンのように聞こえますが、このコルチゾールは過剰に分泌されると記憶を司る海馬を破壊してしまうことがわかっています。
運動するとこのコルチゾールが一時的に増加しますが、裏で有用なタンパク質がカタボリックホルモンと呼ばれるホルモンによって合成されて、傷ついた細胞の修復をしてくれます。
免疫力を向上させる
四つ目は「免疫力を向上させる」です。運動には二つの側面から免疫力を向上させることにつながっています。
①免疫系の抗体のリンパ球の活性化
抗体は細菌やウィルス感染と闘い、リンパ球はがんのような病気の進行にいち早く反応して対処してくれます。これらの抗体やリンパ球は運動することによって活性化し、免疫力を直接向上させることにつながっています。
②組織を修復する細胞の活性化
組織が傷ついて悪化し続けると、体内で炎症が慢性的に発生します。炎症が慢性化すると心血管系の病気やアルツハイマーのような病気につながる恐れがあります。運動にはこのような慢性的な炎症とならないように組織を修復してくれる細胞を活性化する効果があります。
抗うつ作用がある
五つ目は「抗うつ作用がある」です。運動することによって多幸感をもたらすと言われているエンドルフィンをはじめとして、抗うつ剤として使用されているような神経伝達物質の調整を行なってくれます。
例えば、運動によってドーパミンのような神経伝達物質が放出されると、幸福感を高め、気持ちを前向きにして、注意力を高めることにつながります。
つまり気分と集中力の向上です。さらに習慣的に運動をするようになるとドーパミンの貯蔵量が増えるだけでなく、ドーパミンの受容体(外部からの刺激を使える形にしてくれるもの)を作る酵素が生成されて、受容体が多くなることもわかっています。
これによって運動するとさらにドーパミンの生成が活性化して気分と集中力の向上が望めるということになります。
また、忘れてはならないのがセロトニンです。
セロトニンは気分や衝動を調整してくれたり、睡眠ホルモンであるメラトニンの材料になる重要な神経伝達物質の一つです。
運動はこのセロトニンの分泌にも影響を与えることができます。
脳を成長させる
六つ目は「脳を成長させる」です。特に有酸素運動は脳を強くします。
運動をするとニューロンのつながりを強めて脳回路をより強固なものとすると同時に、海馬でニューロンの親である幹細胞を生成してくれるようになります。
また、ニューロンの新生に欠かせない栄養因子であるBDNFやVEGFなどが盛んに供給されるようになり、脳の成長を後押ししてくれます。
このような変化は最終的に脳の能力を向上させ海馬や前頭前野が発達し、記憶力や論理的思考、感情のコントロールがより上手くできるようになります。
また、脳回路をより強固なものとすることでダメージを受けた際にも深刻な症状につながることを防いでくれます。
超効率的な運動法「HIIT」
運動が健康に良いとわかったところで、実際にどのような運動をすることが効果的なのでしょうか。
そもそも運動習慣が定着している人はどの年代を見ても上で説明したように少数派です。
特に運動習慣がない人がやらない理由として挙げているのが「仕事・家事・育児で忙しい」というのがダントツです。
現代人は昔よりも忙しくなっているは事実かもしれませんし、スマホの登場によって人が運動に時間を割こうとする割合はより減少している傾向にあるように感じます。
このような状況において、ランニングをしたりスポーツを通して体を動かすというのは、今まで運動習慣がない人がこのような運動をするにはハードルが高く挫折する可能性があります。
そこで、そのような人へおすすめの運動が「HIIT」という運動法になります。
HIITとは
HIITとはHigh Intensity Interval Trainingの略で直訳すると「高強度インターバルトレーニング」で負荷の高い(高強度)運動と休憩(インターバル)を短いスパンかつ短時間で交互に行うトレーニングのことを指します。
このHIITというのは短時間で行えるだけでなく「有酸素運動」と「無酸素運動」それぞれの運動効果を得られる非常に効率的な運動法です。
それぞれの運動には異なる効果があります。
「有酸素運動(エアロビクス)」は筋肉に酸素が送られることでグリコーゲンと脂肪を少しずつ使うことで脂肪燃焼につながり、体力アップに効果のあるジョギングやエアロバイクなどの酸素を取り込む運動を指します。
「無酸素運動(アネロビクス)」は酸素を使わずグリコーゲンを乳酸に分解してエネルギーに変換するような、50m走やベンチプレスなどの酸素を取り込むことなく行うことが出来る運動を指します。
一般的に「有酸素運動」と「無酸素運動」は別の運動法でそれぞれ行うことになるため、どちらも両立するには多くの労力と時間が必要でした。
特に時間がかかる「有酸素運動」において ニューロンの新生に欠かせない栄養因子であるBDNFやVEGFなどが盛んに供給されるようになるのですが、いざ運動を始めようとしても「これから30分走らなければならない」と考えて行動に移すのを躊躇してしまいます。
HIITであれば数分ほどの短時間トレーニングだけでその有酸素運動の効果を得ることが出来るのです。
自宅でもできるHIITの実践方法
それでは、HIITの実践方法についてです。HIITは 負荷の高い(高強度)運動と休憩(インターバル)を短いスパンかつ短時間で交互に行います。
実はHIITというのはランニングやベンチプレスのような具体的な運動のことを指しているわけではなく、下記のようなことを満たしている運動であればHIITに当てはまるものになります。
時間
時間ですが、体が慣れるまでは20秒の高強度トレーニング+10秒の休憩インターバルを1セットとして6セット(3分間)を行ってみましょう。
3分と考えると楽そうに思えますが、実際にやってみると初めのうちは結構キツイと感じるはずです。
慣れてきたら負荷のかけ方を上げる、もしくは1セット追加する、トレーニングとインターバルの時間を少し長め(+5秒)にするなど、調整してみるのもよいです。
トレーニング内容
高負荷となる運動であればダッシュでも腕立て伏せでも腹筋でもなんでもよいですが、出来るだけ呼吸しながら体を動かすものを選びましょう。
おすすめは全身の筋肉を使い、かつ自宅でもできる「バーピー」です。
より正確で効果的なHIITを実践したい人は最大心拍数の80%の負荷をかけるようにしましょう。
また、複数のメニューを組み合わせて6セット内でローテーションするのもよいでしょう。
頻度
週2回~3回を目安に実施しましょう。運動による健康効果は2日ほど続くことが分かっているため理想は2日おきに実施するのが望ましいです。
もちろん日々の習慣に出来たら毎日やっても問題はありませんが、体を壊さないように労わることもお忘れなく。
まとめ
まとめ
- 運動すると基礎代謝が上がるため、肥満体型になりづらくなる。
- 運動すると免疫系のバランスが向上して、病気を予防し、炎症が起きづらくなる。
- 運動するとストレス耐性が向上する。
- 運動するとドーパミンの生成が活性化して、気分と集中力が高くなる。
- 運動するとセロトニンの分泌が増えるため抗うつ効果がある。
- 運動すると脳を成長させてくれる栄養因子の分泌が活発になる。
- 運動する時間が取れない人はHIITがおすすめ。
- HITTは短時間で「有酸素運動」と「無酸素運動」両方の効果がある。