今回はダイエットを本気で成功させるための糖質基礎知識について紹介していこうと思います。
こんな人に向けて書いています
- 痩せたい人
- リバウンドしないようにダイエットしたい人
- どんな食材を避けるべきか知りたい人
一時期「糖質制限ブーム」というのがありました。白米やパンなどの主食には糖質が多く含まれるため、そのような主食をカットして体重を減らそうとするダイエット法です。
世の中では「カロリー制限」派と「糖質制限」派と「脂質制限」派と議論が分かれており、様々な本でも賛否両論の印象を受けます。
もちろんどの方法でも本気で制限すれば痩せることはできます。特に「糖質制限」は正しく行えばダイエット効果が早めに出やすく、健康維持にもつながる良いダイエット法の一つです。
それでは最短で痩せ、健康維持にも効果的な「糖質制限」によるダイエットで押さえておくべき糖質の知識について解説していこうと思います。
糖質の基礎
糖質で太る理由
まずは糖質で太る理由です。
「太る」というのは端的に言ってしまえば体内の脂肪が増えることです。脂肪というのは80%が脂質、20%が水なので脂質を摂ると太ると考える人もいますが実はそういうわけではなく、糖質も最終的に脂肪に変化していきます。
まず、糖質というのは三大栄養素の一つですが、この糖質は吸収する過程でブドウ糖に変換されて酸素と反応して体や脳を動かすエネルギーに変換されています。
ただし、糖質を摂りすぎるとエネルギーとして消費されなかったブドウ糖が血中に余ってしまいます。
血中にブドウ糖が余ると血糖値が上昇して血管を気づつけてしまうため、すい臓から出てくる「インスリン」というホルモンの働きで「グリコーゲン」に変えられて肝臓や筋肉に吸収されていきます。
しかしながら、肝臓や筋肉に貯蔵できる量にも限度があるため、それでもブドウ糖が余剰だと「中性脂肪」に置き換わって脂肪細胞に吸収されていきます。
このように糖質が最終的に脂肪として体について太ってしまうのは余剰な糖質摂取が一つの原因となっているのです。
逆に糖質を摂取しなくなると肝臓や筋肉に蓄えられていたグリコーゲンを消費して、最終的に脂肪細胞に蓄えられたエネルギーを消費して体や脳を動かすようになり、脂肪が減っていきます。
これが糖質制限によって痩せるための基本的な考え方です。
現代人糖質摂りすぎ問題
そもそもですが、長い人類の歴史上これほど糖質を摂っていた時代は他になく、糖質の摂りすぎ問題というのがあります。
まず私たち人間は250万年の歴史の大半を狩猟採取をすることで生きてきました。狩猟採取というと木の実や山菜、魚、イノシシなどが主な主食となり、果実などは他の動物に食べられてしまうこともありそこまで食べることができない希少なものでした。
1万年前の弥生時代あたりから「農耕」という画期的な発明が行われ、一定の土地に住まい、稲や麦を栽培するようになりました。安定的に食料を確保できるようになり、現代ではそれが主食となっているという背景があります。
しかしながら、私たちの体は狩猟採取の時代からそれほど大して変化しておらず、脂質とタンパク質が中心の生活であったためそのようにDNAにも刻まれています。
そのため、現代のように大量の糖質を摂ることを想定して体ができていないため、糖質過多となってしまい「糖尿病」のような生活習慣病へとつながってしまうのです。
糖質を摂りすぎると老ける
老化の原因の一つは「酸化」によって細胞が錆びたような状態になることです。果物を放っておくとシナシナになって茶色く変色したりしますが、あれは酸化によるもので体でも同じようなことが起きます。
そしてもう一つは糖質の摂りすぎによる「糖化」です。糖化とは糖質とタンパク質が反応して細胞が焦げるような状態になることです。この時生成されるのがAGEと呼ばれる物質です。
AGE(Advanced Glycation Products)は一度生成されると体外になかなか排出されず、体内の組織を破壊して回ります。特に、血管、肝臓、筋肉などに大きなダメージを与えて高血圧や心筋梗塞のような重大な疾患になったり、シワやシミといった老化現象を起こす物質です。
糖質を摂りすぎると体内でこのAGEと呼ばれる物質の生成が活発になります。また、AGEを含む食品を食べることでも蓄積されていきます。AGEが多い食べ物というのは主に高温調理がされている炒め物や揚げ物などになります。高温調理かつ主成分が糖質のフライドポテトがどれほど老化の進行を進める食べ物なのかこのことからよくわかります。
とはいえAGEのほとんどは消化時に分解されるため、体内に吸収されるのは10%ほどです。そのうち体内に蓄積されるのは0.6%ほどなので大した量ではないですが、日々の蓄積で5年後、10年後に大きな影響として表面に出てくるので若く見られたい方はできるだけAGEを避ける食事を心がけるようにしたほうが良いかと思います。
糖質を摂らな過ぎは死亡リスクが増加する
糖質を摂り過ぎるのは良くないと言いましたが、一方で糖質を摂らな過ぎも良くありません。
そもそも糖質というのは三大栄養素の一つであり、その中でも身体や脳を動かす直接的なガソリンになっています。
糖質は体内に取り込むためにまずはブドウ糖に分解され、体内で酸素と反応することで二酸化炭素、水、ATPという物質を生成します。このATP(アデノシン三リン酸)が身体や脳を動かすエネルギー源になっているのです。
そのため、極度の糖質制限をすると外部から入った糖質を使ってATPを生成することができないため、身体のだるさや脳が思うように働かないという現象につながってしまいます。
もちろん、外部から糖質が摂れなくなったとしても体脂肪や筋肉を分解してケトン体という代替のエネルギーを生成できるため、完全に思考が停止してしまうということはありませんが、十分に体を動かしたり脳をフル活用させるほど効率的な作りに体はなっていないため、過度な糖質制限はお勧めしません。
また、2018年に行われたメタ分析ではエネルギー摂取の比率において糖質のエネルギー比率が50%以下になると、急激に死亡率が増加することがわかっています。また、50%を大幅に超えた場合でも死亡率が増加することがわかっているため、糖質制限は命を削って痩せたい人以外は程々に行うのが良いでしょう。
Siedelmann SB et al.“Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis” Lancet. 2018;3(9):E419-428
https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S2468-2667%2818%2930135-X
また、脳は通常1日に100gほどの糖質を使うので、頭の働きを鈍くさせたくない人はこの基準は超えるように摂取量をコントロールするようにすると良いかと思います。
糖質にも良し悪しがある
一言で糖質と言っても食品によって良し悪しがあります。よく日本人が口にする白米やパン、うどんなどの白くて精製されたものや玄米や雑穀米などの黒くて精製されていないものなどがあります。
基本的に白いものは精製される過程でビタミンやミネラルが含まれている箇所を削ぎ落としているため甘さを感じやすい食品が多いです。
これに対して黒くて精製されていないものは先ほどのビタミンやミネラルに加えて食物繊維などの栄養素が残っています。
どちらも糖質量に大きな差はありませんがGI(グリセミックインデックス)値と呼ばれる血糖値の上昇に関わる値が異なり、この値は黒くて精製されていないものの方が低くて血糖値の上昇が緩やかな傾向があります。
体を壊すヤバい飲み物
コーラやスポーツドリンクなど多くの人に愛されている飲み物ですが、大半の清涼飲料水は体を壊す恐ろしい飲み物です。
これは飲み物裏の成分表示を見れば分かります。例えばコカコーラであれば100mlに含まれる糖質はおよそ12gです。これはスティックシュガー4本分に相当し、500mlのペットボトルタイプであればスティックシュガー20本分です。実際に甘さを出すためにそれだけの砂糖が使用されています。
ただの水にスティックシュガーを20本も入れたら甘すぎて飲めたものではありませんが、炭酸にすることで爽快感を足すことで飲めるようになっています。
さりげなく日常で飲んでいる清涼飲料水ですが 、このように大量の砂糖を含んでいます。また食べ物と異なり吸収スピードが速いので血糖値も一気に上昇します。
血糖値が急激に上昇するとインスリンも大量に分泌され次々と脂肪に置き換えていきます。そのため、あらゆる食品の中でもトップクラスに太りやすく糖尿病などの健康リスクを引き起こすものです。
これはコーラに限った話ではなく、実はスポーツドリンクやエナジードリンクにもかなりの砂糖が含まれています。スポーツの時や徹夜にはこのような飲み物を飲みたくなる人もいますが、糖質の含まれないお茶やコーヒーに少しずつシフトしていきましょう。
夜ご飯は糖質を抑える
一日の仕事が終わり、何よりも夕食を毎日の楽しみにしている人も多いかと思います。しかし、太りたくない人は糖質が多い食事は控えた方が良いです。
「朝は王様のように、昼は貴族のように、夜は貧者のように食べよ。」という名言があるように夜はそもそもの食べる量は少なくするのが肥満にならず健康でいるための秘訣です。
というのも夜ご飯の後にそのまま寝ると、夜に摂ったエネルギーの大半は使われることなく体内に蓄積されるからです。
おすすめは豆腐や大豆などの植物性タンパク質を多く含む食品や野菜です。糖質をとらないほうが肥満防止につながりますが、一方で牛肉などの脂質や動物性タンパク質は消化に時間がかかるため、睡眠の質を阻害するといった影響もあります。
逆に朝食はある程度の糖質を摂取してもその日の活動エネルギーとして消費されるので、ご飯やパンを食べたい人は朝がおすすめです。
朝(5割)
朝食ある程度の糖質を摂ってもその日の活動エネルギーとして消費されるため、ご飯やパンを食べる方は朝がおすすめ
昼(4割)
お昼も同様にその日にエネルギーとして消費されますが、お昼後の眠気にも繋がるため、丼ものや麺類はできるだけ避けて主菜や副菜のある定食がおすすめ
夜(1割)
夜はできるだけ食べる量を減らすことを目標にしましょう。ただし、全く取らないと空腹で夜眠れなくなるので豆腐や大豆食品などの植物性タンパク質や野菜がおすすめ
まとめ
ダイエットを本気で成功させるための糖質基礎知識
- 糖質が最終的に脂肪として体について太ってしまうのは余剰な糖質摂取が一つの原因
- 大量の糖質を摂ることを想定して体ができていないため、糖質過多となってしまい「糖尿病」のような生活習慣病へとつながってしまう
- 老化の原因の一つは「酸化」によって細胞が錆びたような状態になること
- もう一つは糖質の摂りすぎによる「糖化」
糖化によって生成されるAGE(Advanced Glycation Products)は一度生成されると体外になかなか排出されず、体内の組織を破壊して回ります。特に、血管、肝臓、筋肉などに大きなダメージを与えて高血圧や心筋梗塞のような重大な疾患になったり、シワやシミといった老化現象を起こす物質 - 糖質は体内に取り込むためにまずはブドウ糖に分解され、体内で酸素と反応することで二酸化炭素、水、ATPという物質を生成します。このATP(アデノシン三リン酸)が身体や脳を動かすエネルギー源になっている
- GI(グリセミックインデックス)値と呼ばれる血糖値の上昇に関わる値は黒くて精製されていないものの方が低くて血糖値の上昇が緩やかな傾向がある
- 朝食はある程度糖質を含む食事を摂り、夜ご飯は大豆などの植物性タンパク質中心の食事を心がける