今回はこのような悩みに応えていきます。

結論を先にお伝えすると下記の栄養素を含んでいる食べ物を摂るようにしましょう。

  1. ビタミンC
  2. ビタミンE
  3. ポリフェノール
  4. カロテン

下記で1日の摂取量目安と食材例、注意点を説明していきます。
※1日の摂取目安や上限については厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」を参照

脳の老化を予防する栄養素 その1:ビタミンC

1日の摂取量目安:100mg
1日の摂取量上限:2000mg

ビタミンCは「アスコルビン酸」ともいわれ、タンパク質の一つであるコラーゲンの生成に必須の栄養素です。

多くの哺乳類はブドウ糖からビタミンCを合成することができますが、人間は体内で合成することができないため、外部からビタミンCを摂取する必要があります。また水溶性ビタミンのため、多めに摂取した場合も尿として排出されます。そのため、よほど過剰摂取しない限りは問題は起こることはありません。

ビタミン類の中では珍しく、食事から摂取した時とサプリから摂取した時で体内で利用される生体利用率というのは変わりません。そのため、不足していると感じたらサプリから補助的に摂取するのも一つの選択肢になります。

ビタミンCには主に以下のような効果があります。

  1. 活性酸素によって細胞が老化していくことを防ぐ(抗酸化作用)
  2. 毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ
  3. 皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けを防ぐ

食材例

ビタミンCを多く含む食材はピーマンやブロッコリーなどの野菜果物が中心です。[1]

食品名100gあたりの含有量
赤ピーマン170mg
黄ピーマン150mg
ブロッコリー140mg
レモン50mg

注意点

  1. 過剰摂取は吐き気、下痢、腹痛といった胃腸への影響で吐き気、下痢、腹痛といった胃腸への影響が出る可能性がある
  2. サプリ等は1g以上のビタミンCを含んでいるものもあるので過剰摂取にならないようにする
  3. 摂取する量が増えると吸収率が低下する[3](200mg以下で90%、1000mg以上で50%ほど)
  4. 熱に弱いという特徴もあるため、野菜や果物を摂るときは生食にする

脳の老化を予防する栄養素 その2:ビタミンE

1日の摂取量目安:6mg
1日の摂取量上限:900mg

ビタミンEはビタミンC同様に抗酸化作用が強いビタミン類で、生体膜を構成する脂溶性成分が酸化することを防ぐために細胞壁に多く存在しています。また、光に弱いという性質があるため、ビタミンEが多く含まれる食品を保管する際は遮光された場所を選ぶ必要があります。

ビタミンEには主に以下のような効果があります。

  1. 活性酸素によって細胞が老化していくことを防ぐ(抗酸化作用)
  2. ガンの原因になる過酸化脂質の生成を妨げる
  3. LDLコレステロールが酸化することを抑制する
  4. 血管を健康に保つ

食材例

ビタミンEを多く含む食材はアーモンドや落花生などのナッツ類やひまわり油などの油脂類が中心です。[1] ビタミンEは熱に強いため、加熱調理されたものでも損失は少ないため、生食を選ぶ必要はありません。

食品名100gあたりの含有量
ひまわり油39mg
アーモンド30mg
落花生11mg
オリーブオイル7mg

注意点

  1. 光に弱いため、ビタミンEが多く含まれる食品を保管する際は遮光された場所を選ぶ
  2. 過剰摂取となると骨密度が低下して、骨粗鬆症のリスクを高める可能性がある
  3. 脂溶性ビタミンなので水溶性ビタミンと比較して体内に蓄積されやすい

脳の老化を予防する栄養素 その3:ポリフェノール

1日の摂取量目安:規定なし
1日の摂取量上限:規定なし

ポリフェノールとは植物が光合成を行う際に生成される物質で、苦味や色素などの成分の一つになっています。一言でポリフェノールと言ってもその種類は数千種類もあり、化学構造の違いから効果も異なってきます。ビタミンCと同様に水溶性のため、多めに摂取した場合も尿として排出されます。そのため、よほど過剰摂取しない限りは問題は起こることはありません。

ポリフェノールには主に以下のような効果があります。

  1. 活性酸素によって細胞が老化していくことを防ぐ(抗酸化作用)
  2. 網膜に存在するロドプシンというタンパク質の再合成が促されて視力が回復(アントシアニン)
  3. LDLコレステロールが酸化することを抑制する
  4. 美容効果がある

食材例

先述したようにポリフェノールは光合成によって生成されるため、カカオや茶の木などの植物・ブドウなどの果物が中心になります。特に効率的に摂取できるのがチョコレートです。

食品名100gあたりの含有量
チョコ(カカオ86%)2720mg
ワイン230mg
コーヒー200mg
緑茶115mg

注意点

  1. 妊娠中の女性が摂取しすぎると、胎児の発育・血管に異常が出る恐れがある

脳の老化を予防する栄養素 その4:カロテン

1日の摂取量目安:6.5mg
1日の摂取量上限:27mg

カロテンは動植物に広く存在する黄、橙、赤色の色素で脂溶性の物質で別名プロビタミンAと呼ばれ、体内で必要に応じてビタミンAに合成されるため、ビタミンAの仲間に分類されます。

カロテンには主に以下のような効果があります。

  1. 活性酸素によって細胞が老化していくことを防ぐ(抗酸化作用)
  2. がん細胞の発現を抑制する

食材例

カロテンを多く含む食品は主に緑黄色野菜、マンゴー・パパイヤなどのパッションフルーツのほか、昆布などの海藻類、えびなどの甲殻類、卵などがあります。

食品名100gあたりの含有量
にんじん10mg
ほうれん草5mg
昆布20mg
えび1mg

注意点

  1. 不足すると、薄暗いところでものが見にくくなり、夜盲症になる可能性がある
  2. 過剰摂取は皮膚が黄色くなる柑皮症を招く

参考文献

  1. 文部科学省. 『食品成分データベース』
    https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
  2. 厚生労働省. 『(2)水溶性ビタミン ①ビタミン B1』
    https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586563.pdf
  3. M Levine , C Conry-Cantilena, Y Wang, R W Welch, P W Washko, K R Dhariwal, J B Park, A Lazarev, J F Graumlich, J King, L R Cantilena. "Vitamin C pharmacokinetics in healthy volunteers: evidence for a recommended dietary allowance". Proc Natl Acad Sci U S A. 1996 Apr 16;93(8):3704-9.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8623000/
  4. Yoichi Fukushima , Takashi Ohie, Yasuhiko Yonekawa, Kohei Yonemoto, Hiroki Aizawa, Yoko Mori, Makoto Watanabe, Masato Takeuchi, Maiko Hasegawa, Chie Taguchi, Kazuo Kondo. "Coffee and green tea as a large source of antioxidant polyphenols in the Japanese population". J Agric Food Chem. 2009 Feb 25;57(4):1253-9.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19187022/