今回は「血行の改善する睡眠法」をテーマに取り上げていこうと思います。

先に結論を述べてしまうと以下の5つの睡眠法で血行を改善することができます。

  1. 午後10時〜午前2時は寝る
  2. 血液不足のサインはレム睡眠に出る
  3. 血流を左右するのは寝起きの行動
  4. 自律神経を整えて血液を作る
  5. 体温を調節して血液を作る

それでは詳しく解説していきます。

血行が改善すると何が良いのか

血液の役割

心臓を出て全身の動脈を巡り、静脈を通して心臓へと帰ってくる。この体内を巡る流れを血行と呼んでいます。

全身に巡っている血液には下記8つの役割を持っています。

  1. 水分を保つ
  2. 酸素を供給する
  3. 栄養を届ける
  4. ホルモンを運ぶ
  5. 二酸化炭素を回収する
  6. 老廃物を回収する
  7. 体温を維持する
  8. 病気から体を守る

人体の細胞は60兆個と言われていますが、これら一つ一つの細胞に栄養や酸素を運び支えています。細胞は3分以上酸素が送られないと壊死崩壊し始めると言われています。
上記のような多くの役割を持っていることからも、血液は生きていく上で非常に重要な組織であることがわかります。

従って血行を良くするということは血液のこれらの役割をしっかり出来るようにするということにつながります。

血行が良くなるメリット

血行が良くなると下記のようなメリットがあります。

  1. 水分バランスが保たれ、慢性的なむくみが改善する
  2. 酸素が十分に行き渡り、脂肪燃焼につながる
  3. 身体中の老廃物が取り除かれる
  4. 体温が一定となり、冷え性が改善する
  5. 免疫力が上がり、病気になりにくくなる
  6. 生活習慣病(糖尿病、認知症)予防になる
  7. 脳の血行が改善することでうつや落ち込みなどのマイナス感情が減る

挙げたメリットだけでも十分に血液がどれだけ重要であるか分かりますが、それ以外にも血行を改善して新鮮な血液を全身に巡らせることによるメリットは沢山あります。
血行を良くするということは細胞レベルで五臓六腑含む身体の活性化につながり、様々な病気や体調不良になることを防ぐということなのです。

血行を改善するポイント

「血行が悪い」=「血液がドロドロ」というわけではない

よく健康番組などで「血行が劇的に改善しました!」と特集されるときにドロドロの血液がどれほど危険かを取り上げます。
そして、どれくらい改善したかをサラサラになったかで決めることが多いですが、「血行が悪い」=「血液がドロドロ」というのは半分誤りです。

もちろん血液がサラサラであることは脳梗塞や糖尿病などの生活習慣病改善につながるため、健康改善につながっていることは事実です。
しかしながら、それで血行に関係する病気や体調不良が全て解決するわけではありません。
なぜなら血液がサラサラであること以外にも、血行に関係している要因があるからです

血行を良くする3つのポイント

血液がサラサラであること以外にも、血行に関係している要因があります。血行に関係している要因とは大きく分けて下記3つです。

  1. 血液の量
    体内の血液が満たされることで血行を良くするためには、血をより多く作り出す必要があります。血を作るために特に重要な事は胃腸などの消化器官を強くし、栄養を十分に吸収できるようにする事です。
    血は何もないところから出来るわけではなく、食べたものから作られます。これは血に限らず体全体に言えることで、胃腸などの消化器官を強くし、十分な栄養を吸収させる事でエネルギーが作られて新陳代謝が向上します。
  2. 血液の質
    先ほど挙げた「血液をサラサラにする」というのはこの血液の質に当たります。血液をサラサラにするためには暴飲暴食を避け、糖質中心の食生活からタンパク質中心の生活に切り替える・抗酸化作用の高い栄養素やオメガ3を摂取する、十分な睡眠を取るなどの対策が考えられます。
    血液の質というのは、生活習慣病である、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞といったものの予防に直結します。
  3. 血液の流れ
    上記2点を達成した場合でも、血流の流れが悪い場合があります。それがストレスによって交感神経が活性化し、全身の血管が収縮してしまう場合です。
    最終的な血液の流れの良し悪しは健康に限らず、日々の生活満足度にも直結する重要なポイントです。血流が良くなると脳内で分泌される幸せホルモンのセロトニンも増えるため、心も体も調子が良くなる好循環につながります。

血行を良くするために必要な期間

血行を良くするために必要な期間は「4ヶ月」です。理由は以下です。

  1. 赤血球の寿命
    赤血球は骨髄で新生されて全身の血管内を巡っていきます。古くなって赤血球の機能が失われていくと脾臓で分解されます。この骨髄で新生〜脾臓で分解までの期間がおよそ120日ほどになります。そのため、血液を作り替えて増やし、質を改善して流れを良くするには少なくともすべて入れ替わる4ヶ月ほどが目安になります。

もちろん日々の睡眠改善で少しずつ血行を改善されていくため、4ヶ月間何も変化が起きないというわけではありません。
すぐに結果を出ることを求めずに、着実に血行改善のために対策を継続することが一番の近道になります。

血行を改善する睡眠法5選

午後10時〜午前2時は寝る

睡眠で血液を作る力を向上させる最も効果的なものが、ゴールデンタイムと呼ばれる午後10時〜午前2時は寝ることです。
ゴールデンタイムは成長ホルモンが最も分泌されるため寝た方が良いというのは広く知れ渡っているかと思いますが、血行を改善する観点でもこの時間帯に寝ることは下記観点で効果的です。

  1. 血液を作る
    就寝近くになると交感神経優位から副交感神経が優位へと遷移していきます。副交感神経が優位となってから1時間後〜3時間後が血液を作る時間のため、この時間帯に就寝することで正しく血液が体内で作られます。
  2. 血液中の老廃物を排除する
    入眠直後の90分の睡眠の質が高いほど、血液中の老廃物を排除することができます。したがって、人が本来持つ1日のリズムにしたがって22時に入眠を習慣とすることで、より質の高い睡眠に入り、効率的に血液の浄化を行うことができます。これにより免疫力向上と睡眠の質がより向上するという好循環のスパイラルを得ることができます。
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1

血液不足のサインはレム睡眠に出る

レム睡眠とは「rapid eye movement sleep」の略で睡眠周期の中でも比較的睡眠が浅く、夢を見るのもこのレム睡眠です。

血液不足だと睡眠の質が低下する傾向にあるため、浅い睡眠であるレム睡眠の時間が長くなり夢をよく見るようになります。
その原因は血液不足だと睡眠中に脳の老廃物除去が十分にできていないためです。

脳細胞は日中起きている間は活発的なため、細胞からの老廃物除去は殆どされておらず、脳が休まる睡眠中に老廃物の除去が行われます。
人の体は基本的に細胞の老廃物はリンパ管に流れてから血液に取り込まれます。
脳はリンパ管がないと言われているため、脳脊髄液がリンパ管の役割を行なって老廃物を除去しようとします。

この老廃物を除去しようとする動きは脳が休止状態であるノンレム睡眠の時に活発となりますが、血液が不足しているとこの間に老廃物を除去しきれずに溜まりっぱなしになってしまいます。

これによって睡眠の質が低下して浅い睡眠であるノンレム睡眠の時間が長くなり夢をよく見るようになります。

因みに、この老廃物というものの中でも特に影響の大きいものがアルツハイマー型認知症を引き起こす要因と言われているアミロイドβというタンパク質があります。
血液不足は睡眠の質を下げ、アルツハイマー病のリスクを上げる可能性もあるということです。
認知症対策について気になる方は下記記事をチェックしてみてください。

認知症を予防するにはどうすれば良いのか? 認知症になる原因と食事対策2選

今回はこのような悩みに答えていこうと思います。 先に結論を述べてしまうと、まずは下記2点を食事で取り入れば高い確率で認知症の発症を遅らせることができます。 それ…

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2

血流を左右するのは寝起きの行動

血行を改善するためには、朝起きたら必ず朝日を浴びてメラトニンの分泌リズムをコントロールすることが重要です。

人間は就寝中においても、夜から朝にかけて明るくなっていく変化を感じ取っています。これによって、ゆっくりと覚醒して体内時計がリセット・正常化されます。
朝日を浴びる時間目安は5分です。たった5分の直射日光を浴びるだけでも不眠を解消して体内時計をリセット・正常化してくれます。

また、朝日を浴びると左脳と右脳の間にある松果体から分泌されるメラトニンが抑制されます。
メラトニンは睡眠ホルモンで分泌されると自然な睡眠を誘う作用があります。これが朝日によって抑制されると15時間後にまた分泌がされるようになります。
したがってゴールデンタイムの22時には入眠するためには朝の7時には朝日を浴びて抑制すれば良いということになります。

夜メラトニンが正常に分泌するためには原料であるセロトニンが作られていることが前提になっています。セロトニンを作るには必須アミノ酸のトリプトファンを摂取する、腸内環境を改善することで増やすことができます。

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3

自立神経を整えて血液を作る

睡眠中に正常に血液を作るためには、睡眠中よりもベッドに入る前の準備が重要です。
特に重要なのが自律神経を整えることです。

自律神経とは一言でいえば内臓器官の中でもとりわけ、血管をコントロールしている神経です。生命活動に欠かせない呼吸も実は自律神経がコントロールしています。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つの神経から成り立っています。
交感神経は心身をアクティブな状態にする働きがあり、血管が収縮して血圧が上昇し、興奮・緊張状態に近づきます。
一方で副交感神経というのは心身をリラックス状態にする働きがあり、交感神経と反対に血管は緩み血圧が低下し、気分は落ち着く状態に向かっていきます。

この自律神経のバランスは日内変動と言って時間帯によって交感神経と副交感神経どちらが優位になるかは変動するようにできています。
一般的に日が昇る朝方から昼過ぎまでは交感神経が優位となり、夕方から夜にかけては副交感神経が優位となります。

この日内変動によって夜になるにつれて副交感神経が優位となり、リラックス状態に向かっていき安らかに眠るというリズムを作ってくれています。

つまり、このリズムに沿って睡眠前は交感神経をできる限り刺激せずに副交感神経が優位となるような行動をすれば、良質な睡眠をとることができ正常に血液を作ることができるということです。

副交感神経が優位となるための行動とは下記のようなものがあります。

  1. 強い光を放つものを控える
    具体的にはテレビ、スマホ、パソコンの使用を控える事です。これらの機器から発せられる光は交感神経を刺激しメラトニンの分泌を妨げる上に副交感神経の働きを阻害してしまうため、控えましょう。特にスマホでSNSを使用している人は他人のコメントでストレスを受ける可能性があり、それによって交感神経が大きく刺激されてしまうため、特に注意です。
  2. 香りを活用する
    副交感神経の働きを高めるには、嗅覚を活用した方法もあります。自身の好きな香りを嗅ぐ事で末梢神経の血流が良くなることがわかっています。特に睡眠の質を上げる香りとしてラベンダーの香りがあります。ある研究では、ラベンダーの香りを嗅いだ被験者の副交感神経を刺激し、体温、血圧ともに緩やかに低下して、誘眠効果の高いα波が増加したとの研究結果も報告されています。その他にはヒノキやスギなどに含まれているセロドールと呼ばれる香りは交感神経の興奮を鎮めてくれる効果があることもわかってきています。
  3. 音を活用する
    音楽を聴くと心がリラックスできることがありますが、これは聴覚による癒し効果です。そしてその中でも愛の周波数とも呼ばれる528Hzの音楽は、聴くだけで自立神経を整えてくれて、ストレス緩和に効果のある幸せホルモンであるオキシトシンを活性化してくれることが分かっています。睡眠中にずっと流し続けると逆に睡眠の質を下げることにつながってしまいます。音楽の誘眠効果を活用するのであれば、ちょうど寝入るくらいのタイミングで切れるように再生時間を調整するのが好ましいです。
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4

体温を調節して血液を作る

質の高い睡眠から血液を正常に作るためには、体温を意識することも重要です。
体には表皮体温と深部体温の2種類があります。深部体温は体の中心に近い体温で、朝と夜で体の深部体温は1℃近くも異なります。
そして、睡眠の質が高いほどこの深部体温が低下することがわかっています。

寝ている間の体というのは代謝が下がり、活動量が下がることで筋肉によるエネルギー消費や食べ物を消化するために必要なエネルギーが低下します。
また、徹夜していたとしても人の体内時計にしたがってよるになると深部温度を下げようとする働きがあります。
というのも、これは深部体温の熱が手や足などの末端の毛細血管に移動して熱放出が起きているためです。
これによって深部温度が下がり表皮体温との差が縮まり睡眠圧が高くなっていきます。

したがってこの体温が下がる流れをより加速する方法を取り入れることで、意図的に睡眠中の深部温度を低下させて質の良い睡眠を手に入れることができます。

睡眠中の深部体温を意図的に下げる最も効果的な方法の一つがお風呂に入ることです。

体温を下げるために温める矛盾に疑問を持つかもしれませんが、これは人間のホメオスタシスを利用した方法です。
ホメオスタシスとは体の状態(体温や免疫力)を一定に保とうとする仕組みのことです。
入浴直後は湯冷めするとよく言いますが、お風呂に入って体温が急激に上がると、このホメオスタシスが機能して体温を下げようとします。

これにより睡眠中の深部体温がより下がりやすくなり、睡眠の質向上につながります。
お風呂に入る以外にもサウナで深部体温を下げる方法もあるので気になる方は下記を読んでみてください。

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今回はサウナの健康への効果と初心者のための正しい「ととのえ方」について解説していこうと思います。 最近、コロナの影響で運動不足になっていることも相改まって健康へ…

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血行を改善する睡眠法5選まとめ

今回は血行を改善するための睡眠法5選の紹介でした。最後にまとめです。

  1. 午後10時〜午前2時は寝る
    ゴールデンタイムは成長ホルモンが最も分泌されるため寝た方が良いというのは広く知れ渡っているかと思いますが、血行を改善するためにもこの時間帯に寝ることは「血液を作る」「血液中の老廃物を除去する」という観点で効果的です。
  2. 血液不足のサインはレム睡眠に出る
    血液不足だと睡眠の質が低下する傾向にあるため、浅い睡眠であるレム睡眠の時間が長くなり夢をよく見るようになります。
  3. 血流を左右するのは寝起きの行動
    人間は就寝中においても、夜から朝にかけて明るくなっていく変化を感じ取っています。これによって、ゆっくりと覚醒して体内時計がリセット・正常化されます。朝日を浴びる時間目安は5分です。
  4. 自立神経を整えて血液を作る
    睡眠前は交感神経をできる限り刺激せずに副交感神経が優位となるような行動をすれば、良質な睡眠をとることができ正常に血液を作ることができます。
  5. 体温を調節して血液を作る
    睡眠の質が高いほどこの深部体温が低下することがわかっています。睡眠中の深部体温を意図的に下げる最も効果的な方法の一つがお風呂に入ることです。

血液は生きていく上で非常に重要な組織なので、まずは一つでも睡眠に取り入れて、血行改善に繋げてみてください。

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