忙しくない時も常に体がだるいと感じる、集中力が続かなくて困っている、将来の不安や悩みが消えないのですが、どうすれば解消できるのか知りたい。

今回はこのような悩みに応えていこうと思います。

先に結論を述べてしまうと、状況に応じて以下の5つの瞑想法と実践する事で不安や悩みを解消する事ができます。

  • マインドフルネス呼吸法
  • モンキーマインド解消法
  • ムーブメント瞑想法
  • RAIN
  • メッタ瞑想法

「瞑想」という言葉を聞いて宗教的な怪しさを感じた人もいるかもしれませんが、それは大きな誤解であることを先に述べておきます。

瞑想の起源は原始仏教の弾にあると言われています。
19世紀になってビクトリア朝時代のイギリス人がこの概念に出会って西洋に持ち帰ったものから宗教性を排除し、今の瞑想法が出来上がっています。

弾からの焼き直しが繰り返しされるうちに、化学的な裏付けがされるものに進化してきており 、瞑想による研究というのは増加傾向になります。

瞑想の効果が広まるにつれてGoogleやUCLAなど誰もが知っている企業や大学で導入されるようになっている瞑想ですが、なぜそこまで注目を浴びるようになったのでしょうか。

人間が本来持つ特性から瞑想がどのような効果があるのか一つずつ解説していきます。

不安や悩みが解消する瞑想法5選

それでは具体的な瞑想法について解説して行きます。

冒頭でも紹介した通り、不安が悩みが解消する瞑想法として今回は下記の5つを紹介します。

  • マインドフルネス呼吸法
  • モンキーマインド解消法
  • ムーブメント瞑想法
  • RAIN
  • メッタ瞑想法

マインドフルネス呼吸法

基本的な瞑想法であるマインドフルネス呼吸法から説明します。この瞑想法はこのような時におすすめです。

  • 注意散漫になっている時
  • 無気力で何もやる気にならない時
  • ちょっとしたことをずっと考えてイライラしてしまう時

これらの症状が出ている時は脳疲労のサインです。その根本的な原因は未来の悩みに心が向いてしまったり、過去の不快な経験に対して考えが向いてしまっていることで、今この瞬間にいない状態が慢性化していることにあります。

現在に意識を向ける呼吸法を知ることで、疲れづらい脳を作って行きましょう。

基本姿勢をとる

  • 椅子に座ったら背筋を伸ばす(骨盤から首筋まで背骨がまっすぐになっている感覚)
  • 腹筋は力を入れず、手は太ももの上に置く
  • 意識に集中するために、目を閉じる
STEP
1

意識を体の感覚に向ける

  • 手が足に触れている感覚、お尻が椅子に触れている感覚、体が触れている感覚に意識を向ける
  • 体が重力で下に引っ張られる感覚に意識を向ける
STEP
2

呼吸に注意を向ける

  • 鼻呼吸をする時に、鼻を通る空気、空気が出入りして上下する胸・お腹の感覚を意識する
  • 無理に深呼吸する必要はなし(カウントするのも意識が呼吸からずれてしまうため不要)
STEP
3

呼吸に雑念が浮かんできたら

  • 雑念が浮かんできたことに「気づき」、注意を呼吸に意識的に戻す
  • 雑念はDMNの活動で生じるのは当然なので、自分を責めない
STEP
4

毎日続ける

  • 毎日続けることで徐々に疲れにくい脳が出来上がる
  • 1日5分から始める
  • 習慣化のためにも同じ場所、同じ時間に行うのがおすすめ
STEP
5

モンキーマインド解消法

頭の中で様々な雑念が浮かび上がってくる状態を、モンキーマインドと呼びます。このモンキーマインド解消法はこのような時におすすめです。

  • 集中したい時も雑念が浮かび上がってしまい、集中できない時
  • 自分もしくは他人に対する嫌悪感が強くなっている時
  • 寝つきが悪い時

モンキーマインドの状態だとDMNの活動が活発となっているため、脳のエネルギー消費が膨大となり、疲れやすい体になってしまいます。また、雑念が何度も浮かび上がって、思考がループすると入眠の妨げとなるため、睡眠の質にも影響が出ます。

そのような時は頭の中に浮かび上がってくる雑念そのものに対する「認識」を変えることから始めましょう。

雑念にラベルを付けて捨てる

  • 雑念が浮かび上がってきたらラベルをつける
  • ラベル付けしたものは「考えても無駄なもの」として頭の外に送り出す
STEP
1

例外がないか考える

  • 頭の外に送り出してもまだ浮かび上がってくる原因は、同じ前提で考えているため
  • その雑念が当てはまらない例外を考えてみる
STEP
2

客観的に考える

  • 雑念そのものを自分とは切り離す
  • もし友達がその雑念を抱いていたらどう考えるか、雑念に対して客観的に考える
STEP
3

判断しない

  • その雑念が正しいか、正しくないかの判断はしない
  • 「今この瞬間」に必要な思考かだけで考える
  • 過去や未来にとって良い事、悪い事かは考えない
STEP
4

自分の願望から考える

  • 雑念が何回も現れる理由は、何かしら自分の願望(人の期待を裏切りたくない、周りに尊敬されたい等)から来ているものではないかという前提のもと、自分の願望と雑念を紐づける
STEP
5

ムーブメント瞑想法

ムーブメント瞑想法は体の動作に意識を向ける事で、脳の自動操縦状態から脱することが出来る瞑想法です。ムーブメント瞑想法はこのような時におすすめです。

  • 注意散漫になっている時
  • ながら作業で一つ一つのことに集中できていない時

歩きながらスマートフォンを触っていたり、音楽を聴きながら作業をしたりと現代はマルチタスクとなっている場面が多く見受けられます。特に頭を使わないマルチタスクが増えると、それぞれの動作に対して脳が自動操縦モードとなり、慢性的な注意力・集中力低下につながってしまいます。

グーグルの社員研修でも導入されている有効な瞑想法なので是非取り入れてみてください。下記のような簡単な動作であれば他の動作でも代替できます。

歩行瞑想

  • 足の関節・筋肉の動き、地面と足裏が接触する感覚に意識を向ける
  • 左足の踵(かかと)から地面に付き、つま先で地面を蹴り、右足の踵から地面に付き、、とひとつひとつの動作にラベリングして心の中で唱える
STEP
1

着座瞑想

  • マインドフルネス瞑想と同じ姿勢で椅子に座る
  • その状態で肩を後ろから前にゆっくり回す
  • 肩周りの関節・筋肉に意識を向ける
  • 1周したら逆向きにゆっくり回す
  • これを繰り返す
STEP
2

直立瞑想

  • 足を肩幅に開く
  • 両腕を伸ばした状態でゆっくり上げる
  • 腕の関節・筋肉、重力で下に腕が引っ張られる感覚に意識を向ける
  • 上まで上げたら下にゆっくり下げる
  • これを繰り返す
STEP
3

RAIN

RAINは「Recognition(認識)」「Acceptance(受入)」「Investigation(検証)」「Non-identification(他人事)」の頭文字を取ったものです。この瞑想法はこのような時におすすめです。

  • 何かにイライラしている時
  • ダイエットしたい時
  • 欲望のコントロールをしたい時

通常であれば理性を司る前頭葉が扁桃体の働きとバランスをとっていますが、脳に強いストレス負荷が掛かると、感情を司る扁桃体が暴走を始めます。

怒りを感じた時はこのRAINを駆使して怒りの衝動をコントロールしましょう。

Recognition(認知)

  • 怒りの矛先から自分の中に怒りが湧いていることに意識を向ける
  • 怒りと怒っている自分を分離して考える
STEP
1

Acceptance(受入)

  • 怒りの衝動が起きているその事実を受け入れる
  • 怒りが起きていることに対して評価をしない(「なんでこんなことで怒らないといけないのか」「運が悪い」等)
STEP
2

Investigate(検証)

  • 怒った時に身体に何が起きているのか確認する(心拍数が上がっているか、顔が少し暖かくなってきているか、体の一部が緊張で固くなっていないか)
STEP
3

Non-Identification(他人事)

  • 自分の感情を個人的なものとは考えない
  • そもそも自分の怒りではないと、再度怒りと自分を分離して考える
STEP
4

メッタ瞑想法

メッタというのは「慈愛」という意味です。少しスピリチュアルに感じる方もいるかも知れませんが、名門UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)でも導入されており、実践してみると不思議とネガティブ思考が解消される効果的な瞑想法です。メッタ瞑想法はこのような時におすすめです。

  • 他人に対してネガティブな感情を持っている時
  • ポジディブ思考を養いたい時

アドラー心理学では、現代の人が持つストレスというのは全て人間関係から発生するものとしています。人間関係におけるストレスというのは多少なりとも誰もが持っているものかと思います。

中にはどうしても好きになれない人や、その人のひとつひとつ行動に対してネガティブな捉え方をしてしまうことも少なくありません。

嫌悪や嫉妬、怒りといったネガティブな思考から脱却し、他人に対する慈愛を育てることで、DMNの活動を抑え、脳疲労とストレスから解放された状態を目指しましょう。

心を整える

  • まずは、マインドフルネス瞑想法で心を整えます。目安は5〜10分です
  • 過去にあった人間関係のネガティブな思考から「今この瞬間」に意識を全て持ってくる
STEP
1

その人のことを思い浮かべる

  • ネガティブな捉え方をしている原因の人をイメージする
  • その時に身体にどのような変化があるか注意を向ける(心拍数が上がっているか、体が緊張してきているか等)
STEP
2

心の中で以下のフレーズを唱える

  • 「〇〇(対象の相手)が健やかで幸せでありますように」
  • 「〇〇(大切な人)が健やかで幸せでありますように」
  • 「全ての人が健やかで幸せでありますように」
STEP
3

毎日続ける

  • これが一番難しいが、毎日続けると徐々に慈愛の精神が育まれる
  • まずは短時間でも良いので1日5分から始める
  • 習慣化するためにも、できれば毎日同じ場所、同じ時間に行うのがおすすめ
STEP
4

毎日瞑想を行うことで不安や悩みから解消される

今回は不安や悩みが解消する瞑想法を5つ紹介しました。

  • マインドフルネス呼吸法
  • モンキーマインド解消法
  • ムーブメント瞑想法
  • RAIN
  • メッタ瞑想法

実践する上で最も大事なポイントは「毎日続ける」ということです。

初めは5分でもかまいません。何よりも続けることで、少しづつ「今この瞬間」に意識を集中する心を磨くことができます。

ぜひこの機会に生活の一部に瞑想を取り入れてみてください。

そもそもなぜ人は不安になったり過去の過ちを思い返してしまうのか

【過去】人は生き延びるために失敗を思い返すようにできている

ふとした時に、過去の過ちを思い出してしまい「あのときこうしていれば、失敗することはなかったのに」と、変わることのない過去を後悔したり、自分や他人を批判してしまうといった経験は誰にでも少なからずあるかと思います。

人は過去に起きた重要な事象を記憶し、思い出す力を持っています。そのような失敗や後悔から、同じような事をしてしないように学習をして、軌道修正することができます。

例えば、狩猟採取の時代ではこの力を駆使して、獲物を捕らえ損ねた時の経験を元に次はどうすれば捕らえることが出来るかと試行錯誤することで獲物を捕らえる知恵を磨いたり、ライオンやハイエナなどの肉食獣に襲われた危険な場所を覚えておき、その場所を避けたりしていました。

その時代から現代まで数十万年の年月が経っていますが、人間の体の作りは大して変わっていません。そのため、今も同じように「また間違った判断をしたり、不注意で失敗を繰り返してしまうのでは」と過去の失敗を繰り返し考えて不安になったり後悔に思考を巡らすようになっています。

失敗から次にどのようにすればよいかを考えて軌道修正することは大事ですが、過去を思い返して後悔するだけでは何も変わることはなく、現在に意識が向いていないため時間を不用意に消費してしまいます。

もちろん、誰もネガティブな感情になりたくて考え込んでしまうわけではなく、自然と意識が過去に向いてしまうことが大半かと思います。
そこで過去の失敗や後悔に思考を巡らせてしまうことを防ぎ、現在に意識を向ける手段の一つとして瞑想があります。

【未来】将来起こりうるであろう危険予測を無意識に行なっている

過去を思い返して失敗を繰り返さないように人の体ができているように、未来についても予測し計画を立てる力を持っています。

この能力によって「次はどうやって獲物を仕留めようか、あの物陰から肉食獣が飛び出してきたらどうしよう」などの危険予測をすることができます。

この危険予測をする能力に長けていたものが危険から逃れることができた一方で、この能力が劣っていた人は生き延びることができませんでした。

つまり、私たちの先祖というのは危険察知能力に長けており、未来に対する危険予測や不安が強いという特徴を持っており、それが現在まで受け継がれているのです。

もちろん、悪いことだけではなく、何かを想像するという空想力は素晴らしいもので、画期的な発想や創造力、思いもよらないような新しい挑戦ができるのもこの能力によるものです。

瞑想の効果とは

悩みや恐れを解消してくれる

少し強い言い方になってしまいますが、意識がいつの間にか過去や未来に向いている時、その殆ど意味をなしてないと言っても良いでしょう。

そういった場合というのは大半が悩みや恐れなどの不安が起点に生じているものだからです。

また、不安はホルモン分泌に影響して血流や体内の細胞に影響を与えることがわかっています。

瞑想をするということは、悩みや恐れというものから意識を切り離すことです。

切り離した意識を「今この瞬間」に持ってくることで、過去と未来を考えることで掻き立てられていた不安を取り除き悩みや恐れを解消してくれます。

例えば、全力疾走中の時や、溺れかけている時に「明日の晩御飯なんだろう」と考えることはないように、その場に全意識が向いている状態で未来のことや過去の事を考えたりはしないかと思います。

「今この瞬間」に意識が向を向けて意図的に「気づき」を与えることが瞑想の本質です。

今この瞬間を生きる集中力が向上する

現代人が持つ悩みや不安の原因の殆どが人間関係に関するものです。

会社の上司との関係や友人関係など、それぞれの人間関係が崩れると、私たちは疎外感と孤独を感じるのではないかと恐怖するのです。

そういった起きるかも分からない悩みや不安を抱えることなく、今この瞬間起きていることに集中し、何が起きているのかそれに対して何を感じているのか「気づき」を得ることが瞑想の重要なポイントです。

瞑想の練習を重ねることで今この瞬間を生きることができるようになると、そのような人間関係に悩んだり周囲の人との見えない壁に不安を感じたりする恐怖が取り払われます。

動じない心を作り、ストレス耐性が高くなる

生きていく上で、ストレスが掛かる経験は沢山あります。

瞑想はそのようなストレスのかかる状況でも動じず平静でい続けるための心を作ってくれます。

不満をぶつけたり、その場から逃れるなど、私たちは周囲の環境や人を動かすことで、自分が快適でいられるように調整しようとすることが多く見受けられます。

しかし、どれだけ周囲を変えようとしても、思い通りに変わるとは限りませんし、自分で変えられる範囲というのには限界があります。

確実に自分で変えることが出来るのは自分自身の物事の捉え方です。

瞑想を通じて、自分にとって快適とは言い難い状況でも受け入れることができれば、不快となっている原因のストレス負荷は弱まり、動じることがない心を作ることができます。

脳の消費エネルギーを節約する

脳は体重の2%程度ですが、実は人の消費エネルギー全体の約20%を占めている大食漢です。

脳は寝ている間も活動を続けており、消費エネルギーの中でも特に消費が激しいのがDMN(デフォルトモードネットワーク)と呼ばれる脳回路で、全体の約70%がこのDMNによる消費と言われています。

私たちは普段歩いたり、歯磨きしたり、考えて行動する必要がない行動は無意識にできるかと思います。

実際には複雑に体のそれぞれの部位を精密に制御して一連の動きをしているわけですが、これは意識的な活動をしていない時に働くDMNの活動によるおかげです。

いわば脳のアイドリング状態といった状態です。

これは生活習慣を無意識に出来るなどのメリットだけでなく、デメリットも存在します。

例えば、何も考え事をせずにぼーっとしている時でも、ふとした瞬間に悩み事や雑念が思い浮かぶことがあるかと思いますが、あれもDMNの活動によるものです。

つまり、DMNというのは、何もしていない時に雑念が浮かんだり無意識に行動することによって、活動をするため、脳が疲れる最大要因の一つと言えます。

瞑想を行うとこのDMNの活動を抑制することができるため、脳の消費エネルギーを節約する事ができます。