糖質制限してるから、砂糖の代わりに人工甘味料の入った飲み物やスイーツを食べてるけど、健康に悪かったりするの?また、食べても良い甘味料があるのであれば教えてほしい。
今回はこのような悩みに応えていこうと思います。
近年、糖尿病などの生活習慣病になる人が増加傾向にある中で、糖質に気を付けるようになった人も多いかと思います。
現代の日本人の食事は平均的に米やパン、麺類などの糖質が中心の食事になっています。
厚生労働省の「平成 29 年国民健康・栄養調査結果の概要」によると現代人は「糖質:脂質:タンパク質」をおよそ「15:3:4」ほどの割合で取っています。
つまり、現代人の平均的な食事から摂取しているエネルギーの大半は糖質から摂っているのです。
糖質の過剰摂取は血糖値スパイクを起こし、血管を傷つけ、インスリン感受性が低下し、最終的にインスリンの効きが悪くなる第二型糖尿病になります。
そのことに危機を感じて糖質を摂ることを控えて、代わりに人工甘味料の入った飲み物やスイーツを食べている人もいるかと思います。
アメリカのダイエットコークに代表されるように、「糖質フリー」「糖類ゼロ」「糖質〇〇g」とパッケージに低糖質であることをを謳っている食品をスーパーやコンビニで多く見かけるようになりました。
実際に食べてみると、糖質が入っているものと同じように甘さを感じるにもかかわらず、ゼロカロリー。
その理由は、砂糖などの代わりに人工甘味料と呼ばれる、人間が甘味を感じる成分を混ぜているからです。
夢のような成分ですが、もちろんゼロカロリーである事と引き換えに、知らず知らずのうちに人工甘味料が体に大きな負担をかけている可能性があります。
今回は、そんな人工甘味料の中でも健康の観点から避けるべき人工甘味料と健康に悪い理由について解説していきます。
避けるべき人工甘味料と健康に悪い理由
結論として下記の人工甘味料は摂取するのを避けることをおすすめします。
- スクラロース
- アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)
- アセスルファムK
これらの人工甘味料が健康に悪い理由は以下の通りです。
脳腫瘍やがんになる可能性が上がる
動物実験にて、アステルパームを投与された動物は発作や脳腫瘍などが発症したことを示す研究が数多く発表されています。また、脳腫瘍以外にもがんとの関連性も指摘されています。『Hard to Swallow』誌によれば、アステルパームを含む飲料水を摂氏30度で1週間放置したところ、アステルパームが分解されて、脳腫瘍の原因になるホルムアルデヒドや蟻酸、ジケトピペラジンといった有害物質が発生したことが分かっています。
うつになりやすくなる
アメリカ神経学会の研究によると、人工甘味料の飲料水を毎日4本以上飲んでいる人のうつ発症率はそれ以外の人と比べて30%も高くなっていることが分かっています。また、脳内ホルモンであるセロトニンの分泌が正常に行われなくなる危険性があるとされています。セロトニンは脳や腸壁で分泌され、痛みやうつを低減する効果のある神経伝達物質の一つです。このことから、人工甘味料とうつには何かしらの関連性があるのではないか、ということを示唆しています。
肥満体質になる
皮肉なことに、人工甘味料を摂ると逆に肥満体質になりやすくなることを示している研究もあります。人工甘味料を含む飲料水を常飲している人は、メタボリックシンドロームになる割合が34%も高まることがわかっています。また、そのような飲み物はダイエットコークに代表される酸性の強い炭酸飲料に多く含まれているので、歯のエナメル質を溶かす作用もあるため、できるだけ避けた方が良いでしょう。
認知能力が低下する
血糖値を上げないため、日頃の糖質を全て人工甘味料に変えて生活すれば良いと考える人もいるかもしれません。もちろん糖質はないため、血糖値の急激な上昇は無くなりますが、脳にとっては良くない影響が出てきます。ウェールズ・スワンセア大学の研究では60〜80歳の高齢者にブドウ糖と人工甘味料を与えて、文章作成能力、読解力を調べたところ、ブドウ糖を摂取した方が、どちらの能力も高かったことがわかっています。つまり、全ての糖質を人工甘味料で置き換えるということは、認知能力の低下につながってしまうということになります。
摂取しても良い甘味料
どうしても甘い炭酸飲料やお菓子を食べたいという方は、上記のような危険な人工甘味料ではなく、ステビアやデーツ、アップルソースなどの天然由来の甘味料が使われているものを選ぶようにしましょう。液体か固体かによって異なりますが、ステビアは砂糖の300〜1000倍の甘さがあると言われています。かなり甘い成分ですが、実際には糖分子を含まないため、エネルギーとはならない天然のハーブです。血糖値スパイクを起こすことはないため、健康に気を遣っている人にとっては選択肢の一つになるかと思います。
白い砂糖よりは人工甘味料を摂るべき理由
ここまでで、人工甘味料が人体への危険性があることはお分かりいただけたかと思いますが、個人的な見解としては、砂糖を摂るくらいであれば、人工甘味料を摂った方が良いと考えています。
その理由としては3つあります。
人工甘味料の危険性に関する研究はまだ日が浅く、発展途上なので白黒がはっきりしていない点が多いから
人工甘味料というのは1900年代初頭に開発されてから、まだ100年ほどしか経過しておりません。そのため、砂糖や蜂蜜などと比べると、人が摂取するようになってから日が浅いという点があります。近年は人工甘味料に関する研究が盛んになってきていますが、基本的には動物実験による知見が多く、人体に対してどのような影響があるのか白黒がついていない事が多くあります。一方で、砂糖については、人工甘味料とは異なり、人体への悪影響が明確に示唆されている研究が多く存在します。最近では糖質を気にする人が増えて、人工甘味料を含んだ糖質オフの食べ物が増えてきていますが、上記の天然由来のもの以外は極力避けるようにした方が良いと考えています。
精製された砂糖が体に及ぼす影響が大きいから
砂糖については、人工甘味料とは異なり、人体への悪影響が明確に示唆されている研究が多く存在します。特に精製された白い砂糖の過剰摂取は下記のような悪影響を及ぼすとされています。
- 免疫システムの低下
- インスリン感受性の低下、糖尿病の発症
- 認知能力の低下、認知症の発症
- 記憶力の低下
- 体内の炎症の増加
- 糖化による老化
- BDNF(脳由来神経栄養因子)の生産量低下
他にも様々な影響を及ぼすとされているため、糖質を摂るのであれば、果物や野菜などから摂取するようにしましょう。
糖質過剰摂取で過剰摂取で肥満になることのリスクの方が大きいから
体の脂肪は三大栄養素である糖質・脂質・タンパク質がエネルギーとして蓄えられているものです。三大栄養素を並べてみると脂質が単位グラムあたりのカロリーは高いと言えます。
糖質 4kcal
タンパク質 4kcal
脂質 9kcal
単純にカロリーだけで判断すると「脂質」を摂ると一番太りそうですが実はそういうわけでもありません。アメリカの全国健康栄養調査(NHANES)によると下記のことが判明しています。
- (前提)食事から脂質の量を減らして糖質の量を増やして肥満度を測る
- (前提)調査前後での総摂取エネルギーは同じ
- (結果)糖質の量を増やしたところ全体の肥満度が16.9%も上昇した(14.5%→30.9%)
つまり、「脂質」よりも「糖質」を摂る方が肥満につながるという事がこの調査内容によって分かったのです。特に精製された砂糖は吸収スピードが早いため過剰摂取によって肥満に繋がりやすいため、避けることをおすすめします。
他にも糖質について記事を書いているのでぜひ参考にしてみてください。
詳しくはこちら>>糖質制限はガン予防になるのか?糖質制限によるがん予防効果について
詳しくはこちら>>主食を抜くだけ糖質制限ダイエット 糖質制限をすると健康的に痩せる理由
詳しくはこちら>>ダイエットを本気で成功させたいなら糖質を意識しよう! 〜糖質基礎知識編〜
まとめ
原材料名を見る習慣をつけると気付きますが、人工甘味料は様々な食品に含まれていることがわかります。そのため、完全に摂取をしないというのは、食べられるものにかなりの制限がかかってしまうため、上記で説明してきた体への影響を踏まえた上で摂取を許容するか、できるだけ体に優しい食品を選択することが重要だと考えています。健康的な毎日を続けるためにも、人工甘味料とうまく付き合っていきましょう。
参考文献
- 厚生労働省. 『平成 29 年 国民健康・栄養調査結果の概要』
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf - Karen Evans,Karen S. Evans, Hard to Swallow: The Truth about Food Additives".
https://www.goodreads.com/book/show/125196.Hard_to_Swallow - Samantha L Bowker , Sumit R Majumdar, Paul Veugelers, Jeffrey A Johnson. "Increased cancer-related mortality for patients with type 2 diabetes who use sulfonylureas or insulin"
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16443869/ - 独立行政法人 農畜産業振興機構. 『砂糖は脳を活性化させる』
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000860.html