食事を1日2食に減らしたり、甘いものを我慢したり、痩せるために食べるものを我慢して色々とやってみているのですが、すぐ挫折してしまう。。。
最近GI値という言葉をよく耳にするけど、ダイエットするにあたって気にした方が良いの?
今回はこのような悩みに応えていこうと思います。
「夏までに痩せたい。。」「恋人を作るために良い体を作りたい。。」「いつまでも元気でいるために健康的な体を手に入れたい。」人それぞれ、ダイエットする目的は違うかと思います。
巷では、怪しいサプリを含めるとダイエットに関する情報は、星の数ほど多くあります。
誇大表現をして消費者の気を引こうとするような過激なキャッチコピーや、信憑性の薄い研究論文を引用しているにもかかわらず、あたかも世界が認めたかのような信憑性を持たせたりと、ダイエット業界は本当に自分にとって必要な情報の収集が難しいという特徴があります。
特に信じてはいけない謳い文句は以下のようなものです。
- サプリを摂るだけ!
- 足痩せする!お腹周りの脂肪を燃焼!部分痩せします!
- リバウンドしない!
- 好きなものをいくらでも食べてOK!
- 短期間で簡単に痩せる!
上記のような謳い文句は、まるで「これ一つだけ気をつければ痩せる」であったり「簡単に痩せる」と謳っているものが大半です。
しかしながら、そう簡単に痩せられたら、世の多くの人は今もこんなに困っているわけないですよね。
ダイエットは「食事」「運動」「睡眠」「メンタルヘルス」の4大要素をそれぞれ見直すことが重要な総合格闘技です。
一つでもダイエットと逆向きに働くような行動を取ってしてしまうと、思うようにダイエットを成功させるのは難しくなってしまいます。
とはいえ、それぞれの要素について正しい知識を身につけて、全部を完璧にこなすと言うのは難しいため、まずはダイエットにインパクト大きい要素を重点的に見直すことがポイントになります。
ダイエットにおいては「食事」>「運動」>「睡眠」≒ 「メンタルヘルス」の順にインパクトの大きくなるため、まず見直しすべきは「食事」になります。
そこで、今回は食事に的を絞り、食べる量はそのままでダイエットを着実に成功させる一つの方法について説明していきます。
結論:「低GI」な食事を摂る
先に結論を述べてしまうと、食事を「低GI」な食品に切り替える方法になります。
そもそも「GI」と言う指標はご存知でしょうか。
「GI」というのは「グリセミック・インデックス」の略で、食品に含まれる糖質が血糖値をどれだけ上げるのかを、グルコースを「100」として相対的に数値化した指標になります。
このGI値は100に近いほど、血糖値の上昇が急激になり、GI値が100よりも低いほど、血糖値の上昇は緩やかになります。
つまり、同じ100gの糖質を取った場合でも、すぐに消化されて血糖値が急激に上がるものと、ゆっくり消化されて緩やかに上昇する食品があるということになります。
ついでにですが、血糖値と言っても食後どの地点を取るかによって値が全然異なります。そのためGI値の測定方法というのは国際規格「ISO 26642: 2010」で標準化されています。その測定方法というのは、簡潔にいうと、食後2時間までの血糖値の上昇幅の総量をグルコース摂取時と比較して算出しています。
また、GIの国際規格では、食品を低GI(≦55)、中GI(55~70)、高GI(70<)の三つのカテゴリに分類しています。そのため、今回で指す低GIというのは値が55以下、高GIというのは値が70よりも高い食品のことになります。
「低GI」な食品の特徴
「低GI」な食品の特徴は以下の3点です。穀物類だとオートミールや玄米などがイメージしやすいかと思います。
- 糖質の量が少ない傾向にある(脂質、タンパク質の比重が高い)
- 食物繊維を多く含んでいる
- 茶色・黒い傾向にある
- 甘味が少ないもの(人工甘味料は除く)
なぜ「低GI」な食事が痩せるのか
「低GI」な食事がなぜ痩せるのかというと、特徴でもある血糖値の上昇が緩やかであることに関係しています。
白米や食パン、うどんなどの精製された白い炭水化物は一般的に、GI値が高い傾向にあります。GI値の高い食事を摂ると血糖値の急激な乱高下が発生します。
血糖値が上昇している間は良いのですが、食後30分ほどで発生する血糖値の急激な低下によって、血液中のエネルギー(主にグリコーゲン)が不足してしまいます。
そうすると脳はエネルギーをもっと摂取するように「食べろ!」体に働きかけ、すぐに空腹感が出てしまう、というデメリットがあります。これが食べたい衝動につながり、またGI値の高い食事を摂り、また空腹感が出てしまうという負のループに陥ってしまいます。
一方で「低GI」な食事というのは、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるため、血液中のエネルギー量を安定させることができます。
したがって、食後少し経った後の空腹感も出づらく、暴飲暴食になりづらいというメリットがあります。
糖質制限との違い
ダイエットの中でも糖質制限ダイエットというのが人気ですが、この糖質を制限するというやり方については半分賛成ですが、過度な制限をかけることは健康を害するため半分反対です。
というのも糖質を過度に制限すると、その分脂肪や筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとするからです。
単純にお腹周りの脂肪を分解してくれれば良いのですが、筋肉も分解してしまうため、基礎代謝が落ち、痩せにくい体になってしまうというデメリットがあります。
少なくとも脳が1日に消費するエネルギー分は糖質を摂取しても良いと考えています。ざっくりですが、目安量は下記計算式で算出することができます。
1日の糖質摂取目安量(g) = 基礎代謝(kcal) × 20% ÷ 4kcal/g
実際に計算すると70g~120gの範囲あたりになるかと思います。基礎代謝の計算方法については下記の記事で「ハリスベネディクト方程式」や「国立スポーツ科学センターの計算式」の2通りを紹介しているので、気になる方は確認してみてください。
詳しくはこちら>>>マクロ管理法とは 着実に痩せるためのカロリー計算法について
低GIな食事のメリット
糖尿病になりづらくなる
高GIな食事を続けていると、血糖値が急激に上昇する「血糖値スパイク」を起こしてしまいます。
血糖値スパイクを起こすと、血糖値を正常に戻そうと膵臓から大量のインスリンを分泌しなければならず、膵臓が疲弊してしまいます。
膵臓が疲弊してしまうと、「インスリンの分泌量低下」「インスリン感受性の低下」が慢性化して、高血糖の状態が続いてしまう、糖尿病を発症してしまいます。
低GIな食品は血糖値の上昇が緩やかなため、大量のインスリンを分泌させる必要がなく、糖尿病の発症リスクを低減してくれます。
食後の集中力低下を防ぐ
糖質中心の食事を摂ると、食後30分ほどで、「血糖値スパイク」が体の中で起こります。
血糖値スパイクによって急激に血液中の糖質量が増え、インスリンの大量分泌により、血液中のブドウ糖が減ると、脳の活動エネルギーとして十分に供給されなくなるため、集中力低下につながります。
低GI値の食品は血糖値の上昇が緩やかなので、脳に継続的にエネルギーを供給できるようになり、集中力を保つことができるようになります。
認知症を予防し、認知機能が向上する
実は認知症を予防する食生活というのは認知機能を維持、もしくは向上させることが分かっています。
その食生活というのは、血糖値を上げない、特に食後の血糖値スパイクを起こさないような食生活をする事です。
49歳〜71歳の大人を対象としたルンド大学の研究では、高GIの朝食を摂った場合と、低GIの朝食を摂った場合における、認知機能のテストをおこなった調査を行いました。結果として、記憶力や注意力などにおいて、低GIの朝食を摂った場合の方が、認知テストのスコアが上がったことが分かっています。1)
認知症を予防する食事対策についてより詳しく知りたい方は以下を確認してみてください。
詳しくはこちら>>>認知症を予防するにはどうすれば良いのか? 認知症になる原因と食事対策2選
食事の量を減らす必要がないので挫折しにくい
ダイエットにおいて挫折する理由の一つが、食欲に負けて、今までの食生活に戻ってしまうことです。
食欲に抗ってダイエットをするということは精神力を使うことであり、挫折してしまいやすい方法と言えます。
したがって、食欲に抗うのではなく、食欲は満たした上で、どうしたらダイエットを成功させるかということを考えた時の、一つの手段としてこの低GIダイエットがあります。
ガン予防になる
国際糖尿病連合が発表した「糖尿病治療ガイドライン」の食後血糖値の管理に関する記載によれば、食後の血糖値上昇がガン発症リスクを高めることが示唆されています。
成人男女3万5658人を対象にしたコーホート研究(異なる特性を持つ集団群を時間経過による健康状態の変化を調査して分析する研究)において、以下のことがわかっています。2)
- 食後の血糖値上昇率と膵臓ガンによる死亡率に強い相関がみられる
- 食後血糖値が200mg/dlを上回っている人の膵臓ガン発症リスクはそうでない人(食後血糖値が121mg/dl未満)と比べて2.15倍
- ガン発症率が高くなる原因は高血糖によって活性酸素が大量に発生して強い酸化ストレスが生じるため。
逆に言うと、食後の血糖値上昇率が低い食事に切り替えることで、ガン発症リスクを低下させることができます。
より詳しく知りたい方は以下の記事も確認してみてください。
詳しくはこちら>>>糖質制限はガン予防になるのか?糖質制限によるがん予防効果について
老化予防につながる
老化の原因は複数ありますが、その要因の一つが「糖化」です。
「糖化」とはいわゆる体が焦げることです。血液中に過剰な糖分があると、体内のたんぱく質や脂質と結びついて変性し、老化促進物質であるAGEs(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物)を作り出します。
このAGEsは糖尿病の原因になるだけでなく、血管や内臓、皮膚などの全身を老化させる悪名高い物質です。
つまり血糖値を上昇させるほどAGEsを作るリスクが高くなり、全身の老化が進みやすくなります。例えば、皮膚のシミも糖化によって起きた一種の焦げですが、これもAGEsが溜まっています。
低GIな食事では血糖値の急激な上昇を抑えるため、糖化によるAGEsの生成を抑えることができます。
そのほかの老化の原因について知りたい方は下記を確認してみてください。
詳しくはこちら>>>アンチエイジングの基本を知ろう 老化の3大原因はこれ
低GIな食事の取り入れ方
1日の食べる量は変えない
ダイエットがうまくいかない人がやってしまいがちなのが、食事量を減らして痩せようとすることです。このダイエットが成功しない背景には以下の要因が潜んでいます。
- 空腹時間が増え、ストレスレベルが増加することで長期的な行動が取りづらくなる。(目の前の誘惑に弱くなる)
- 栄養不足となり、体の筋肉量が減るため、基礎代謝が落ちる。(痩せづらい体になる)
- 脳へのエネルギー供給が減るため、活力が低下する。(目的に向けた努力が出来なくなる)
食事量を減らすという選択は、多少なかれ食欲を自制心で押さえつける必要があります。
ダイエットが目的であり、食事量を減らすというのは、数ある手段の一つです。低GIダイエットでは、食事量は変えないという前提のもと、健康的な体を手に入れる方法になります。ポイントは3つです。
- 食事回数は変えない(1日3食なら1日3食のまま)
- 空腹を感じたら間食を食べてOK(ただし、置き換える食事で出てくる食べ物に限る)
- 毎日のように食べているものを変える
食べるものを低GI食品に切り替える
低 GI食が健康的に痩せることは分かったかと思いますが、とはいえいつも食べていた高GI食品である白米や食パンなどの主食を禁止するというのは、どうしても我慢が必要になりますし、挫折しやすくなります。
主食を抜くだけ糖質制限ダイエットのような方法もありますが、ダイエット初心者にはおすすめはしません。そこで取り入れて欲しいのが、「主食にしている高GI食品を類似の低GI食品に切り替える」という方法です。例えば、下記のように代替の食品に切り替えていきます。
高GI食品 | 切替 | 低GI食品 |
---|---|---|
白米 | → | 五穀米 |
食パン | → | 全粒粉パン |
甘いお菓子 | → | ハイカカオチョコレート、ナッツ類 |
主食は普段の食生活の中でも多くの割合を占めています。そのため、まずは主食を低GIな食品に変えることで、血糖値の大幅な上昇がしづらい食事にすることができます。
玄米や全粒粉パンは苦いと思う方もいるかと思いますが、最近の売られているものはそこまで苦味を感じませんし、そこまで抵抗感があるものも少ないかと思います。
とはいえ、主観的な感覚なので、まずは少量でも試しに買って試食して見ることをおすすめします。きっと続けられそうと思えると思います。
間食や夜食をしたくなった時の対処法
低GI食品を取り入れていれば、空腹を感じることは少なくなりますが、それでも間食や夜食を摂りたくなることはあるかと思います。
そのような時は無理に我慢することなく、食べても良いと思っています。何よりも継続することが大事なので、少しでも我慢・ストレスを溜めるようなことを減らす工夫が必要になってきます。
私のおすすめは、ハイカカオチョコレートかナッツ類を摂取することです。
まずハイカカオチョコレートとは、一般的に70%以上のチョコレートのことを指します。チョコレートは血糖値が上がりそうなイメージですが、実は主原料のカカオは食物繊維が多く、糖質が少ないため低GI食品に分類されます。
カカオ成分が増えるにつれて苦味が強くなるので、慣れるまでは70%台のチョコレートをちょこちょこ食べるようにしましょう。私のおすすめは個別包装になっている「明治 チョコレート効果」です。小分けになっているため食べ過ぎ防止になりますし、コンビニでも買える手軽さがあり、継続しやすいと思います。
また、カシューナッツ、アーモンド、ピーナッツ、クルミなどのナッツ類は食品GI値一覧からも分かるようにGI値がどれも40を下回る、優秀な低GI食品です。
ぜひ間食や夜食にハイカカオチョコレートとナッツ類を取り入れてみてください。
食品GI値一覧
ダイエットに抜け道はない
冒頭でも述べた通り、ダイエット界隈では楽に痩せられるかのような広告をよく見ますが、そのような抜け道はないと思った方が良いです。かといって険しい道を進むような過度なダイエットではなく、着実にダイエットが成功する方法が何かを模索していくべきだと考えています。
今回紹介した低GIダイエットもその内の一つであり、それぞれの体質や食生活、環境によっては向き・不向きがあります。もしあなたが健常者であり、自分の口に入れるものをコントロールすることができるのであれば、この低GIダイエットはぜひ取り入れてみてほしい方法です。
もちろん食事だけでなく、適度な運動習慣・睡眠、精神的な休息を取り入れて総合的にケアすることも大事です。まず第一歩として食事を改善したら、他の習慣にも目を向けてみてください。
このサイトでは健康寿命を伸ばすための食事・運動・睡眠・メンタルヘルスについての記事を載せているので気になる方はチェックしてみてください。
参考文献
- A Nilsson , K Radeborg, I Björck. "Effects on cognitive performance of modulating the postprandial blood glucose profile at breakfast". Eur J Clin Nutr. 2012 Sep;66(9):1039-43.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22781020/#affiliation-1 - International Diabetes Federation
https://idf.org/