筋肉を大きくしたいけど、避けた方が良いことがあれば知りたい
今回は「筋肉を大きくする上で避けるべきこと」を取り上げていきます。
最近トレーニングを始めた人や、なかなか体が大きくならないと悩んでいる人に向けて化学的根拠を元に9つ紹介していきます。
悩みが尽きないと思っている人の大半は、過剰に良し悪しを判断する心、特に自分に対しての思い込みが悩みや心の苦痛を引き起こしている可能性があります。
ここでの思い込みというのは「自分には周囲の人みたいに特技も個性もない」「自分は記憶力が悪い」「どうせ自分は成功できない」「何をしても上手くいくわけない」といった、他人と比較してどちらが優れていて良い、劣っていて悪いと心の中で決めつけることです。
では、思い込みを全て捨てて、悩みから解き放たれるためにはどうすれば良いのか。
先に結論を述べてしまうと、過去に対する思い込みを全て捨てて「これからどうするのか」に全集中することです。
詳しく説明していきます。
思い込みは猛毒になりうる
思い込みは時に寿命を縮めるほどの猛毒となることがあります。
家族の介護を行なっている女性を対象に、反芻思考とテロメラーゼ値の関係について調べた研究では、ストレスの多い出来事を思い返す回数が多い人ほど、酸化ストレスによる細胞の老化スピードが速く、テロメラーゼ値が低いことがわかっています。
思い込みの中でも特に、過去に対する思い込みが特に強力です。その原因は、人が本来ネガティブ思考であることです。
狩猟採取の時代はいかに最悪の状況を想定して動けるかを考えてきた人たちが生き残ってきています。
私たちはその子孫なので、どれだけ安全な世の中になったとしても同様に最悪の状況を考えてしまうのは本来仕方のないことです。
このネガティブ思考が強くなると、過去に起きたことに対しても最悪の状況を考えてしまうことが多々あります。
- 「嬉しい」と言ってプレゼントを受け取ってくれたけど、本当は「いらない」と思っているのではないか
- 親切に接してくれた不動産営業の方だけど、実は自分の利益の事しか考えていないかもしれない
- 仲良くしてくる友達も裏で陰口を言ってるかもしれない
- 彼氏、彼女の家に知らない歯ブラシがあるけど、もしかして浮気しているかも
こういった考え方は、事実とは別に自分なりの思い込みを加えています。
つまり、「本当は〜かもしれない」という思い込みは、どのような環境にいようと、どのような体験をしようと、それとは関係なく、起こりうるものです。
この思い込みが習慣になっていると、どのような場面を切り取っても最悪の状況を考えてしまうため、悩みが募るばかりです。
この過去に対する思い込みが悩みを増幅させる猛毒になると考えています。
テロメラーゼ:染色体末端のテロメアが短くなることを防ぎ、伸長させる酵素
事実だけを切り取る
過去に対する思い込みが猛毒になり得るのは間違いありませんが、過去に起きた事から学びを得ることは人として成長する上で重要です。
過去に起きた事から学びを得る上で重要なポイントは2つです。
- 事実だけを切り取る
- 自分にとって役に立つ内容なのかを判断する
1つ目の「事実だけを切り取る」というのは、思い込みで情報に色が付いておらず、誰が切り取っても同じ情報になるものです。
例えば、会社のミーティングについて考えると
- 上司が新しい商品企画に対して、残業して練ったであろう提案を3つもしていた。
この1文には2箇所、事実とは関係のない思い込み・判断が入っています。
「残業して練ったであろう」というのは「それだけの労力と時間を使って考えられたのだろう」、という思い込みであり、「5つも」というのは「それだけ自分にとっては多い数だ」という判断です。
これを事実だけ切り取るとすると以下のようになります。
- 上司が新しい商品企画に対して、提案を3つしていた。
このようにして事実だけを切り取ることのメリットは2つあります。
- 過去に起きた事を客観視することができる
- 良し悪しの情報が削られることで、思い込みがなくなる
まずは、ふと過去の出来事を思い出してしまった時には、事実だけ切り取ってそれに注目するという事をしてみてください。
2つ目の「自分にとって役に立つ内容なのかを判断する」というのは、過去の出来事が今後役に立つ事なのかを考えるという事です。
先ほどの例で考えると、
- 上司が新しい商品企画に対して、提案を3つしていた。
という事について、自分にとって役に立つ内容なのかを考えてみます。
そうすると、以下のようなことが役に立ちそうだと考えられます。
- 企画提案するときは複数案用意しておく
このことから、次自分が企画提案をするときには「複数提案を持っていく」という選択肢が増えます。その結果として自分の提案の受諾率が上がる可能性が高くなるかもしれません。
このように考えると、この過去の出来事は自分にとって役立つ内容であると判断できます。
過去の出来事を一度役立つ内容であると判断すると、役立つ情報としてラベリングされるので、その出来事に対しての思い込みや悩みというのは低減されていきます。
自分を否定しない
生きていると何かしら失敗をしたり、自分よりも優れていると感じる人に出会うことが沢山あります。
そのような時に以下のように自分を否定していないでしょうか。
- 自分はなんて注意力がないんだろうか
- 自分は周りの人よりも仕事が遅くてポンコツだな
- あの人みたいに明るく会話する事なんて私にはできない
- 自分は努力したって何も変えることなんてできない
- 自分なんて成功している人に比べたらまだまだだな
こういった否定的な考え方が習慣になっていると、自己肯定感が低下して何事にも消極的な行動しか取れなくなってしまいます。
やはりここでも、事実とは別に自分なりの思い込みを加えていることが問題です。
思い込みが良し悪しの判断をして、結果として悪い判断を自分に下しています。
いますぐ自分を否定するような考え方はやめましょう。
そして、せっかくであれば自分に肯定的な言葉で言い聞かせてみましょう。
「これからどうしようか」を考える
では、自分を否定するような考え方や思い込みをなくすためにはどのようにすれば良いのか。
それは次のような事を考える事です。
- これからどうしようか
過去に囚われて今が疎かになっている時ほど、思い込みや自分を否定するようなことに心が引っ張られてしまいます。
そのような時ほど、「これからどうしようか」という言葉を心で念じてみてください。今の自分が過去に囚われることなく、無条件に、これまでとは違う人生を歩み始めるかのように、これから何をするかに注力するのです。
過去に囚われていても何も良いことはない、ということは誰もが分かっていますが、それでも囚われてしまうのは、「これからどうしようか」ということを考えられていないからです。
「これからどうしようか」と心に言い聞かせて過去の出来事から解放されましょう。
今に集中することが悩みから解き放たれる方法
「これからどうしようか」と今に集中することが大事ではありますが、実際には大半の時間は頭の中で別のことを考えています。
ハーバード大学の心理学者である、マシュー・キリングワース氏が数千人を対象とした研究で(A Wandering Mind Is an Unhappy Mind)は、人の意識が実際に目の前の行なっていることに対してどれくらいの注意が向いているかを調べています。その結果平均して半分以上の時間を、行なっていることと異なることを考えて過ごしている事が分かっています。
ここで重要なのは、会話や運動、勉強や仕事など活動による違いはほとんど見られなかったことです。つまりどのような活動をしたとしても、意識しないと今この瞬間に集中出来ないということです。
では、今に集中するにはどうすれば良いのか。方法は沢山ありますが、特に効果的なのは4つあります。
- 瞑想をする
- しっかり睡眠をとる
- 断食を取り入れる
- やりたいことを見つけて没頭し続ける
1つ目の瞑想は今までも何度も言ってきました。今に集中するためには毎朝5分の瞑想が効果的です。
アクションプラン
瞑想をする方法
- 基本姿勢をとる
椅子に座ったら背筋を伸ばす(骨盤から首筋まで背骨がまっすぐになっている感覚)
腹筋は力を入れず、手は太ももの上に置く
意識に集中するために、目を閉じる - 意識を体の感覚に向ける
手が足に触れている感覚、お尻が椅子に触れている感覚、体が触れている感覚に意識を向ける
体が重力で下に引っ張られる感覚に意識を向ける - 呼吸に注意を向ける
鼻呼吸をする時に、鼻を通る空気、空気が出入りして上下する胸・お腹の感覚を意識する
無理に深呼吸はしなくてOK
もし雑念が浮かんできたら、雑念が浮かんできたことに「気づき」、注意を呼吸に意識的に戻す - 毎日続ける
まずは1日5分から始めて慣れてきたら10分、15分と伸ばしていく
習慣化するためにも、できれば毎日同じ場所、同じ時間に行うのがおすすめ
他にも複数の瞑想法があるので気になる方は下記をチェックしてみてください。
2つ目のしっかり寝るというのは具体的に、7時間良質な睡眠をとる、ということです。
良質かつ7時間の睡眠時間を確保するためには、以下のようなことを生活に取り入れることが有効です。
アクションプラン
しっかりと睡眠をとるための方法
- 朝日を浴びる
朝日を浴びると左脳と右脳の間にある松果体から分泌されるメラトニンが抑制されます。
メラトニンは睡眠ホルモンで分泌されると自然な睡眠を誘う作用があります。これが朝日によって抑制されると15時間後にまた分泌がされるようになります。
したがって、ゴールデンタイムの22時には入眠するためには朝の7時には朝日を浴びて抑制すれば良いということになります。 - 朝食はトリプトファンを多く含む食材を食べる
睡眠ホルモンであるメラトニン分泌には、セロトニンが原料となっており、さらにセロトニンの分泌にはトリプトファンの摂取が必要になるます。このトリプトファン→セロトニン→メラトニンの合成の流れはおよそ15時間ほどかけて合成されます。したがって、夜22時に寝ている人というのはその15時間前の朝7時ごろにトリプトファンを摂取することで、寝るタイミングでメラトニンの分泌を促すため良質な睡眠につながりやすくなります。 - 夕方以降はカフェインを避ける
カフェイン自体には様々な健康効果がありますが、良質な睡眠をとるためには夕方以降の摂取はおすすめしません。カフェインの体内半減期(効果が半分になる時間)は体質によって大きく異なりますが、摂取からおよそ4時間かかります。このことを意識して、夕方以降はカフェインが含まれる食べ物・飲み物の摂取は控えるようにしましょう。 - 寝る1時間〜2時間前に入浴する
睡眠中の深部体温を意図的に下げて入眠しやすくする方法の一つがお風呂に入ることです。体温を下げるために温める矛盾に疑問を持つかもしれませんが、これは人間のホメオスタシスを利用した方法です。入浴直後は湯冷めするとよく言いますが、お風呂に入って体温が急激に上がると、このホメオスタシスが機能して体温を下げようとします。これにより睡眠中の深部体温がより下がりやすくなり、睡眠の質向上につながります。もちろん、サウナでも同様の効果を得ることができます。 - 好きな香りを嗅ぐ
香りの中でも、特に睡眠の質を上げる香りとしてラベンダーの香りがあります。ラベンダーの香りを嗅ぐと副交感神経が刺激され、体温、血圧ともに緩やかに低下して、誘眠効果の高いα波が増加したとの研究結果も報告されています。その他には、ヒノキやスギなどに含まれているセロドールと呼ばれる香りは交感神経の興奮を鎮めてくれる効果があることもわかっています。 - 寝る1時間前はデジタルデバイスを使用しない
デジタルデバイスというのは、具体的にテレビ、スマホ、パソコン、タブレット類です。これらの機器から発せられる光は交感神経を刺激しメラトニンの分泌を妨げる上に副交感神経の働きを阻害してしまいます。
スマホは特に注意が必要で、SNSの使用は強いストレスを受ける可能性があり、それによって交感神経が大きく刺激されてしまいます。
そして3つ目は少食を意識することです。
私たちが今に集中するためには、血糖値を安定させることが重要となります。
そのためには、ある一定の時間は食べ物を食べない時間を作ることが有効です。
アクションプラン
断食を取り入れる
通常の断食が数日単位で食事を制限するのに対してプチ断食は16時間を目安に食事の量を制限します。
食事制限を16時間以上を継続すると体内で「オートファジー」という古くなった細胞を内側から新しく作り変える仕組みが働きます。これによって内側から体を蘇らせることができるためこの観点からも軽い断食はおすすめです。
どの時間帯で断食を行うかは自分のライフスタイルに合わせて調整するのが良いかと思いますが、個人的に取り組みやすいと思っているのが「夜抜き型」です。「夜抜き+睡眠」で16時間の断食をするため、昼ごはんを多めに食べて夜ごはんを抜けばそこまで空腹を我慢することなく断食することができる方法なのでぜひ試してみてください。
朝食は抜きたい方や夜にしっかり食べたいという方もいるかと思います。他の断食パターンについては下記で紹介しています。
そして最後、最も効果があると考えているのが「やりたいことを見つけて没頭し続ける」ことです。
アクションプラン
やりたいことを見つけて没頭し続ける
人生は有限であり、無常であり、同じ瞬間というのは2度はやってきません。
大切な人と時間を過ごしたり、友人と会話したり、公園を散歩したり、そのような貴重な体験している最中でも、その瞬間はまた訪れることはないということに気がつきません。
将来の不安や悩みに意識を取られ、なんとなく時間を過ごしてしまうのは、今の自分が勿体無い。
今の自分にとって最高の時間にする唯一の方法は「没頭すること」です。
誰になんと言われようと、どのように見られようと、自分が本当に心の底からやりたいと思っていたことに取り組み、継続して、没頭し続ける。これ以上に人生の充実はないと私は考えています。
没頭していると、過去に何があったとか、人間関係とか一切気にせず、自分が納得しているのであれば無条件に今すぐにやってみるべきです。
今日が一番若い日です。誰もが心の底からやりたいと思っていたことを見つけて、過去に囚われることなく、今に没頭できることを祈っています。
参考文献
- "A wandering mind is an unhappy mind". Matthew A Killingsworth , Daniel T Gilbert. 2010 Nov 12;330(6006):932.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21071660/ - "Zen meditation, Length of Telomeres, and the Role of Experiential Avoidance and Compassion" Marta Alda, Marta Puebla-Guedea, Baltasar Rodero, Marcelo Demarzo, Jesus Montero-Marin, Miquel Roca, Javier Garcia-Campayo
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27217844/ - "Wandering Minds and Aging Cells" Elissa S. Epel , Eli Puterman , Wendy Berry Mendeshttps://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/2167702612460234