ふとした時に過去の失敗のことを考えてネガティブな思考になってしまう。
マイナスの感情から解放されるためのポイントを知りたい。
今回はこのような悩みに応えていこうと思います。
誰でも生きていれば、親しい人との離別、隣人との人間関係がうまくいかない、受験に失敗した、心の余裕がなくて感情をむき出しにした、などの思い出したら辛くなるような体験を多少なりともします。
そのような過去を思い出すと気分は落ち込むし最悪の状況を考えてしまう、という悩みを持っている人は少なくありません。
今回はそのようなマイナスの感情から解き放たれるためのポイントについて解説していきます。
困った相手に対して判断を下さない
悩みの中でも対人関係で悩んでいる場合が多くあります。
対人関係で悩んでいる多くはその相手の欠点や失敗などネガティブな側面をなんとかして見つけようとして悪い印象を付加することで自分を正当化しようとしている危険があります。
「自分の意見を否定するなんて、この人はなんて攻撃的な人なのだろうか。」「人を傷つく言葉を言うなんて、人の心を読む力がない能力の低い人なんだな。」のように自分にとって不快に感じた人をネガティブなカテゴリーに入れて判断をしてしまいます。
しかし、これは自分のマイナス感情を増幅させてしまう原因になります。
大人になるにつれて友人や恋人など、人間関係が自由に選択できるコミュニティーと職場の上司のような人間関係が自由に選択できないコミュニティーがあります。
人間関係が自由に選択できるのであればその人との距離をとることでマイナスの感情は軽減されるかもしれませんが、人間関係を自由に選べない場合、その人を見るたびにマイナスの感情を生み出す原因になります。
人間関係を自由に選択できなく場合にはどうすればよいのか。
以下の事を意識してみてください。
アクションプラン
相手を判断せず、事実だけを切り取る
「この人は〜のような人だ」と相手をカテゴリー化したりレッテルを貼るようなことをするのではなくて、事実だけを切り取ることを意識してみるようにしましょう。
× 上司が新しい商品企画に対して、残業して練ったであろう提案を3つもしていた。
○ 上司が新しい商品企画に対して、提案を3つしていた。
もちろん仕事では相手がどのような人かを判断して強みを活かしたタスクの割り当てをした方がうまく回ることもあるため、一概に事実だけを切り取ることが生活する上で良いと言うわけではありません。
ただ、「しなくてよい判断はしないに越したことはない」と言うことは心にとどめてきましょう。
特に家族や親友、恋人など自分にとって大事な人ほどしなくてよい判断はしないのが継続的な人間関係を構築する上では無難です。
理解に徹する
人に何かをお願いしたり、期待した時に思っていたことをしていないと以下のようなことを考えてしまうことがあります。
- この人はなんで注意力がないんだろうか
- 自分のしてほしい事を何もしてくれない
- この人は結局何も変わらなかったな
- 痩せれば健康になれるのに、なんで食べてばかりいるのだろう
- 皿洗いをしておいてと頼んだのに帰ってきたら台所にそのまま残っていた
このようなことを考えて相手に失望したり怒りを感じたりしたことはありませんでしょうか。
このマイナスの感情を生んでいる原因は期待との差によって生まれています。
ヤンキーが良いことをすると急に注目を浴びたり、逆に高感度の高い芸能人のスキャンダルが出てくると一斉に避難されるように、それぞれの相手に対して期待値を持って接しています。
その期待値よりも大幅に超えるような行動を相手がするとその分だけ感動したり、関心したりする一方で、期待値以下の場合には、どれだけ相手が良い行いをしていたとしても「がっかりした」と評価をしてしまいます。
相手に何かを期待し始めた時点でその期待通りの行動をするのか自分主体で相手を見てしまい、失望や怒りに繋がってしまいます。
そのような時は以下のようなことを実践してみてください。
アクションプラン
理解に徹する それでも無理なら距離を置く
自分がどう思うのかではなく、相手に言動の裏付けを聞くことで相手を理解することに徹するようにしましょう。
- どうしてその仕事が好きなのか知りたい
- その友人が好きのはなんでだろう、どんなところに魅力を感じているのだろう
- 継続的に運動を続けられているのはなんでだろう、健康を気にしているのかな
- なんでその歌手が好きなのか、きっかけはなんだったのかな
- お願いしたことをやってくれないのはなんでなのか、理由があるんじゃないか
聞き方次第では少し威圧的になってしまうので伝え方には注意が必要ですが、直接相手にどのように考えているのかを聞いて理解することが相手に対する期待や思い込みを解消することがあります。
相手に対して失望や怒りが起こる大半の原因はコミュニケーションが不足しているからと考えています。
まずは、相手を正しく理解することに徹してみましょう。
理解に努めた上でそれでも自分の価値観や考え方に合わず、マイナスな感情が生まれてしまう場合は距離を置くしか方法はないと思っています。
過去ではなく「これからどうするか」に集中する
昔の嫌だった事を思い出したり、誰かが失敗してチームに迷惑をかけてしまった時は次のような事を考えてみてください。
- これからどうしようか
過去に囚われて今が疎かになっている時ほど、思い込みや自分を否定するようなマイナスの感情に心が引っ張られてしまいます。
そのような時ほど「これからどうしようか」という言葉を心で念じてみてください。
今の自分が過去に囚われることなく、無条件に、これまでとは違う人生を歩み始めるかのように、これから何をするかに注力するのです。
ハーバード大学の心理学者である、マシュー・キリングワース氏が数千人を対象とした研究で(A Wandering Mind Is an Unhappy Mind)は、人の意識が実際に目の前の行なっていることに対してどれくらいの注意が向いているかを調べています。その結果平均して半分以上の時間を、行なっていることと異なることを考えて過ごしている事が分かっています。
それだけ私たちは意識しないと目の前のことに注意を向け続けるのが難しいと言うことです。
過去に囚われていても何も良いことはないということは誰もが分かっています。
そのような時こそ「これからどうしようか」を心に念じて「次に何をするのか」を具体的に考えるのです。
アクションプラン
「これからどうするか」を紙に書き出す
- 恋人に振られた、これからどうしようか
- 上司に仕事のミスで怒鳴られた、これからどうしようか
- 大学受験に失敗した、これからどうしようか
- どの会社も内定がもらえなかった、これからどうしようか
もちろんこのようなことが実際にあると落ち込むのは当然です。
ただ、「ショックを受けてマイナス感情が生まれるのは自分はなんて不幸なんだと思いたいだけ」と自分に言い聞かせて「これからどうしようか」という事に集中すると、時間が経つにつれてマイナス感情は小さくなります。
私たちははもともとネガティブな種族の生き残りなので、暇になるとロクでもない行動をしたり、考たりします。
意識を次のアクションに集中させましょう。
「これからどうしようか」を考えるときのおすすめの方法は以下です。
- やることを紙に書き出す
シンプルですが頭の中で考えるのと紙に書き出すのはその後の行動に繋がるか大きく分かれます。
紙に書き出すことで頭の整理にもなりますし、意識が目の前の事に向くのでおすすめです。
瞑想する
長期的な視点でマイナス感情が生じにくくする効果的な方法の一つに「瞑想」があります。
スピリチュアルなものと考える人は減ってきてはいますが、未だにその効果に疑心暗鬼になっている人は多くいます。
瞑想はGoogleやUCLAなど誰もが知っている企業や大学で導入されおり科学的にメンタル改善に効果があることがわかっています。
「RAIN」「メッタ瞑想法」などいくつか瞑想の方法がありますが、その中でも基本的な瞑想法であるマインドフルネス瞑想がおすすめです。実践方法は以下の通りです。
アクションプラン
瞑想をする
- 基本姿勢をとる
椅子に座ったら背筋を伸ばす(骨盤から首筋まで背骨がまっすぐになっている感覚)
腹筋は力を入れず、手は太ももの上に置く
意識に集中するために、目を閉じる - 意識を体の感覚に向ける
手が足に触れている感覚、お尻が椅子に触れている感覚、体が触れている感覚に意識を向ける
体が重力で下に引っ張られる感覚に意識を向ける - 呼吸に注意を向ける
鼻呼吸をする時に、鼻を通る空気、空気が出入りして上下する胸・お腹の感覚を意識する
無理に深呼吸はしなくてOK
もし雑念が浮かんできたら、雑念が浮かんできたことに「気づき」、注意を呼吸に意識的に戻す - 毎日続ける
まずは1日5分から始めて慣れてきたら10分、15分と伸ばしていく
習慣化するためにも、できれば毎日同じ場所、同じ時間に行うのがおすすめ
他にも複数の瞑想法があるので気になる方は下記をチェックしてみてください。
しっかり寝る
上記のような事を試してみても辛い気持ちや怒り、苦しみが消えないことはよくあります。
そのような時はしっかり寝て体を休めるようにしましょう。
喉元過ぎれば熱さを忘れるように、時間が経てば過去の記憶は徐々に薄れて辛かった時の感情や苦しみは忘れていきます。
一番やってはいけないのは「なんとかしてこの嫌な気持ちから抜けださないと!」とマイナスの感情に強く抵抗することです。
これは逆効果で、頭の中で同じ思いをしないように覚えておくべき情報として記憶に残りやすくなります。
一時的にマイナスの感情からなんとか抜けだせてもふとした時に思い出してしまいマイナスの感情が生まれてきます。
こういった時は、事実を受け入れて時が解決してくれる事を祈ってとりあえず寝ましょう。きっと翌朝には昨日よりも気が楽になってるはずです。
注意点として、しっかり寝るといっても無理に長時間寝るのも健康上良くありません。
カリフォルニア大学のDaniel Kripke氏が実施した100万人規模の追跡調査によると、病気で亡くなった人が最も少なかったのは睡眠時間が7時間の人たちでした。最も死亡率が高かったのは睡眠時間が短いグループ(3時間未満)ではなく、なんと睡眠時間が長いグループ(10時間以上)でおよそ1.3倍ほどに増加することがわかっています。
そのため基準は7時間ですが体質によって大きく異なるので、自分が自然と目が覚める時間(2度寝は含まず)がどれくらいかを把握してその時間はしっかり寝るようにしましょう。
良質な睡眠を取りたい方はいくつか方法を書いているので確認してみてください。
おまけ:地球の誕生に比べたら些細なこと
理屈では瞑想してしっかり寝るというのが正解だと理解していても、ついネガティブな事を考えてしまうということは往々にあります。
もう一度マイナスの感情になっている原因を考えてみてください。
- 本当に自分にとって大事なことか
- 最悪の事態になった時に自分は生きていけないほどのダメージを受けてしまうのか
- 自分がここまでなんとか生きてきているのだから、今回も大したことじゃないんじゃないか
- 地球の誕生に比べたら些細なことだよな
この時のポイントはどれだけ達観して考えることが出来ているかです。
友達や家族の悩みを聞いていると共感したり、こうした方が良いんじゃないかというのを冷静に考えることができるのはその悩みを達観して捉えることが出来るようになっているからです。
同様に自分の悩みについても達観してみると悩みというのは解消していきます。
その最上級が、地球レベルまで視野を広げて考えることです。
冗談のように聞こえるかもしれませんが意外と効果があるので今度落ち込んだ時は是非唱えてみてください。
参考文献
- Daniel F. Kripke, MD; Lawrence Garfinkel, MA; Deborah L. Wingard, PhD;. "Mortality Associated With Sleep Duration and Insomnia". February 2002. JAMA Phychiatry.
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/206050