毎朝シリアル食品を食べているのになかなか痩せない

ダイエットに良さそうな食べ物を食べているのに、どうして痩せないのか原因が知りたい。

今回はこのような悩みに応えていこうと思います。

【原因】なぜシリアルが太るのか

まず、シリアル食品とはそもそも何かについてです。

シリアル食品は、トウモロコシ、オーツ麦、小麦、大麦、米などの穀物を、押しつぶして薄い破片にする、パフ状にする、混ぜ合わせてシート状にしてから砕くなどの加熱調理で食べやすく加工し、長期保存に適した形状にした簡便食である。 

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

上記から分かるように、シリアル食品というのは穀物を食べやすいように加工した食品です。

穀物ということは栄養素の大半が炭水化物であることは成分表示欄からもわかります。

ダイエットでよく出てくるオートミールですが、他のシリアル食品に比べたら食物繊維が多く比較的ましではありますが、炭水化物が中心であることは変わりありません。

炭水化物は体内でブドウ糖となって脳のエネルギーに変換されたり、体を動かすためのエネルギーになることで生命活動を維持する重要な三大栄養素の一つであることは事実です。

しかし、炭水化物中心の朝食を摂ることは血糖値スパイクを引き起こし、2~3時間後には脂肪細胞で作られる食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌がおさまり、また空腹になるというループに陥る罠があります。

そうして、朝からシリアル食品を食べては2~3時間後に空腹となって、食欲を抑えるためにまた炭水化物を摂っていると、必要以上のカロリー摂取が続き、太るということです。

【対策】炭水化物を食べる時は時間帯が重要

実は炭水化物を食べる時は時間帯が重要になってきます。

その理由の一つは腸内細菌に関わることです。

空腹時の腸内細菌は脂肪を燃やすための因子である絶食誘導脂肪因子(FIAF)を生成します。

2006年にオランダのヴァーヘニンゲン大学にてFIAFを軽度過剰発現させたトランスジェニックマウスを用いて、FIAFが脂質代謝と体脂肪率にどのような影響を与えるのかを調査しています。結果としてはFIAFの過剰発現したマウスは野生のマウスと比較して脂肪組織が約50%も減少していたことが分かっています。

トランスジェニックマウスとは、人工的な操作により外来性の遺伝子を導入したり,あるいは、内在性の遺伝子に何らかの変異を導入したりしたマウスを指す.

『遺伝子改変マウス―“哺乳動物の分子生物学”を切り拓いた技術』より引用

このことからもFIAFが脂肪を燃やすために重要な因子であることがわかります。

一日3食の生活をしている場合、朝食を摂る前の時間が最も空腹状態でありこのFIAFの生成が活発になっています。

しかし消化・吸収の早い炭水化物を食べるとFIAFの生成がストップしてブドウ糖が脂肪細胞に蓄え始めます。

つまり、脂肪を燃やすのに最適な朝の時間にシリアル食品を食べることでより太ってしまう原因を作っているということです。

逆に言えば、このFIAFが活発に生成されている時間帯を避けることで必然と太りづらい体になれるということです。

このことからも朝は炭水化物を抜いた食事、もっと言えば朝断食することを強くおすすめします。朝断食は多くのメリットがあるので気になる方は下記も確認してみてください。

【今に集中】集中力をさらに高める「朝断食」のすすめ 具体な断食のポイントについても紹介

今回はこの悩みについて答えていきます。 先に結論を述べてしまうと、「朝断食」を取り入れてください。 「若者の〇〇離れ」というフレーズに沿って、「10代20代の若者が…

【対策】炭水化物を摂るのは夜

炭水化物を摂るとしたら最適なのは夜になります。その理由は5つです。

  1. メラトニン生成に必要
    睡眠ホルモンであるメラトニンの生成には神経伝達物質であるセロトニンが必要です。このセロトニンはトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸が材料になるのですが、生成に糖が使われます。したがって、炭水化物を摂ることでメラトニンの生成がスムーズに行われて良質な睡眠につながります。
  2. 睡眠中の脳の整理に使われる
    睡眠というのは体を休めるだけでなく脳を整理整頓する時間でもあります。睡眠が深くなるほど脳波の振幅は大きくてゆっくりとしたものになります。この間に日中に見たことや聞いたことなどの情報を記憶として定着させようと働きます。夜の炭水化物摂取によって得られたエネルギーは、私たちが眠っている間にこのような働きをするために使われます。
  3. 日中の集中力を維持できる
    炭水化物を摂るとどうしても血糖値が上昇します。血糖値の上昇は一時的な高揚をもたらしますが、集中力が阻害される要因にもなります。夜に炭水化物を摂ることで、日中帯の血糖値の変化を抑えて高い集中力を持続させることを可能にします。
  4. 安定した睡眠をサポートする
    長時間の睡眠中でも脳や身体でエネルギーは消費されます。夜に糖質を摂取することで、寝ている間に低血糖になることを防いでくれるため、安定した睡眠をサポートしてくれます。
  5. 筋分解を抑制してくれる
    糖質をエネルギーとして睡眠中に筋肉が修復・成長すると同時に、筋分解を抑制してくれます。

夜に炭水化物を摂るということは、炭水化物を摂ることによるメリットを最大化してデメリットを最小にするための最適な選択です。

炭水化物を摂取する適切なタイミングを知ることが、太らない食生活を身につける上での成功の鍵になります。

参考文献

  1. Wikipedia. 『シリアル食品』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E9%A3%9F%E5%93%81
  2. Stéphane Mandard, Fokko Zandbergen, Esther van Straten, Walter Wahli, Folkert Kuipers, Michael Müller, Sander Kersten. "The fasting-induced adipose factor/angiopoietin-like protein 4 is physically associated with lipoproteins and governs plasma lipid levels and adiposity". J Biol Chem. 2006 Jan 13;281(2):934-44.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16272564/
  3. 東京理科大学 生命医科学研究所. 『遺伝子改変マウス―“哺乳動物の分子生物学”を切り拓いた技術』https://www.rs.tus.ac.jp/iwakuralab/message/004.html#:~:text=%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%B9,%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%8B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A%E4%BD%9C%E8%A3%BD%E3%81%99%E3%82%8B%EF%BC%8E