ストレスが溜まった時は買い物したり甘いもの食べて解消しているはずなのに、全然解消できない。

実際にはストレス解消につながっていないものと解消できるものが知りたい。

今回はストレス解消法について取り上げていこうと思います。

まず初めに、直近でストレスが溜まった瞬間がいつだったのか考えてみてください。

  • 昨日仕事でミスして上司から嫌味を言われた
  • 夜ご飯の食材を買ってきてと頼んだのに手ぶらで帰ってきた
  • 昼ごはんを食べていたら隣の客にお気に入りの服を汚された
  • 今朝、寝室が寒すぎて全然寝れなかった
  • スマホゲームで生活費を削る勢いで課金してしまった
  • 恋人に浮気されていることを先月知った

生活スタイルや行動が複雑化する中で、ストレスを受ける罠があらゆる所にひそんでいます。

恐らくですが、ほとんどの人は大小あれど毎日のようにストレスを感じているのではないでしょうか。

そのようなストレスを受けた時にみなさんはどのようにストレス解消をしていますか?

コンビニで甘いものを買ったり、仕事帰りに同僚と飲みに行って愚痴を言い合ったり、もしくはボクシングジムで打ち込んでいるかもしれません。

人によってさまざまなストレス解消法があるかと思いますが、中には余計にストレスを溜めてしまう誤った方法を気がつかないうちにやってしまっていることがあります。

今回はそのような誤ったストレス解消法を知り、本当にストレスが解消できる方法とは何なのかについて紹介していきます。

もし自分が誤った方法をやっていたという人はこれを機に正しい方法を実践するきっかけにしていただけたら幸いです。

誤ったストレス解消法

落ち込んだ時に、あなたは気を晴らすために何をしますか?

多くの人は楽しい気持ちになったり幸せな気分になれるようなことをするかと思います。

確かに「直感」で良さそうと感じるものは、実際に脳の報酬系システムを活性化させドーパミンを分泌させるため、ものが大半です。

しかし、必ずしも期待通りに気晴らしにつながり楽しい気分になれるかというと、逆にストレスを溜めてしまう事に繋がることが多々あります。

米国心理学会(通称APA)のストレスに関する調査において、以下のようなストレス解消法は「ほとんど効果がない」という結論が出ています。

  1. ショッピング
  2. ゲーム
  3. インターネット
  4. テレビ
  5. 過食

上記のような行動は一時的なドーパミン分泌により気分が良くなりますが、APAの調査では、これらの方法がストレス解消に効果的であると答えた人はたったの16%だったそうです。

それどころか、別の実験では女性が不安を感じたり気分が落ち込むと甘いものを食べることが多くなる上に、その行動をしたことで後ろめたさを感じることがわかっています。

つまり、ストレスを感じて気分を晴らそうとする時誘惑に負けるような行動をすることは逆に新たなストレスを積み上げてしまっているということです。

したがって、本能にしたがってストレス解消法を選択するのではなく、正しいストレス解消法を知り、実践することが重要となります。

正しいストレス解消法

効果のあるストレス解消法とはどのようなものがあるのか、について紹介していきます。

常日頃からストレスを感じ続けている人は一つでも実践してみてください。

今回紹介するストレス解消法は以下の7つです。

  1. 瞑想する
  2. 日光を浴びる
  3. トリプトファンを摂取する
  4. 紙の本を読む
  5. 自然の中で過ごす
  6. 良質な睡眠をとる
  7. 運動する

それでは一つずつ説明していきます。

瞑想する

最近は瞑想の効果が世間に広まってきており、何か怪しげな精神論と思っている人は減ってきているように感じます。

実際に瞑想はストレス軽減効果があることが様々な研究で判明しており、現在ではGoogleやUCLAなど誰もが知っている企業や大学で導入されているストレス軽減法です。

瞑想にはいくつか方法がありますが、私のおすすめの瞑想法は下記4つです。

  • マインドフルネス呼吸法
  • モンキーマインド解消法
  • RAIN
  • メッタ瞑想法

まずは1日5分から、ストレスで辛い時、朝起きた時、仕事する直前、夜寝る前などの時間を使って実践してみてください。

具体的なやり方は下記の記事に書いているので、瞑想に取り組んでみようと思った方は確認してみてください。

【マインドフルネス】不安や悩みが解消する瞑想法5選 科学的に脳を休ませる方法とは?

基本的な瞑想法であるマインドフルネス呼吸法から説明します。この瞑想法はこのような時におすすめです。 注意散漫になっている時 無気力で何もやる気にならない時 ちょ…

日光を浴びる

朝、外に出てみると雲ひとつない真っ青な空が広がる晴天だと気持ちが晴れ晴れとしますよね。

実際に朝の時間帯に日光を浴びることはストレス解消にもつながります。

ここで鍵を握るのは神経伝達物質のセロトニンです。別名「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンには、精神的なバランスを整える働きがあります。

そのため、このセロトニンが多く分泌されることによって、ストレスやイライラといった感情が減り、多幸感を得ることができます。

このセロトニンは日光を浴びることで体内で合成され脳や腸壁から分泌されます。

お昼過ぎにセロトニンの合成量が最大となるため、その前の午前中にしっかり日光を浴びるようにしましょう。

日光量の多い夏場は10分、日光量の少ない冬は30分を目安に日光を浴びると十分に効果が得られるかと思います。

トリプトファンを摂取する

タンパク質というのは、炭水化物(主に糖質)、脂質と並び「三大栄養素」の一つとして、人の生命活動に欠かせないエネルギー源です。

そのタンパク質の中でもあるアミノ酸を摂取することがストレス解消につながります。

そのアミノ酸というのは必須アミノ酸の1種であるトリプトファンであり、先ほどの幸せホルモンであるセロトニンの材料でもあります。

そのため日光浴に加えて、セロトニンの分泌量を増やすためにも、材料であるトリプトファンを十分に摂取してあげることが重要になります。

トリプトファンを多く含む食品は以下のようなものがあります。ぜひ意識して摂取してみてください。

トリプトファンを多く含む食品

【魚介類】カツオ、マグロ、あじ、イワシ
【肉類】牛レバー、豚レバー、豚ロース、鶏肉
【乳製品】プロセスチーズ、牛乳、鶏卵
【豆類】大豆、豆腐
【種子類】アーモンド、カシューナッツ、くるみ

また、トリプトファンはセロトニンの材料として合成された後、夕方から夜にかけて睡眠ホルモンであるメラトニンを生成してくれます。

メラトニンがしっかり作られると夜ぐっすり寝ることができるようになり、良質な睡眠にもつながるためおすすめです。

紙の本を読む

今ではyoutubeやpodcastなど様々な媒体で情報を収集することができますが、それに対して、読書は自分のペースで読み進めることができるという特徴を持っています。

読書の中でも、特に登場人物の心理が事細かに描かれていたり、共感できるような小説は共感能力を一時的に高め、ストレス軽減につながります。

それ以外だと、バイクやガーデニング、旅行の雑誌など自分の趣味や読んでいてワクワクするようなジャンルは一定のリラックス効果があり、そのようなものを選択することが望ましいです。

上記に加えて読書でストレス解消するためのポイントは4つあります。

  • 音読と同じくらいゆっくり読む(速読しない)
  • フロー状態に入るまで継続する(最低30分)
  • 紙の媒体を使う(電子書籍だとブルーライトで交感神経が活性してしまうため)
  • ネガティブな情報媒体はNG(新聞やニュース記事など)

自然の中で過ごす

近くの公園・庭園に行く、河川敷でゆっくりする、植物園に行く、休日に山まで出かける、場所は問いませんが自然の中で過ごすことはストレス解消につながります。

ハーバード大学医学部のスーザン・アボーカイル氏によると、週に120分以上自然の中で過ごすと健康レベルと幸福度が向上することがわかっています。

特に森林浴など緑一色の大自然の中で過ごすことでストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑制され、過度な不安や悩みが和らぎます。

森に行く時間が取れないという方は家に観葉植物を置いたり、スマホの壁紙を自然を感じるものに変えたりすることで、視覚的に緑を増やすだけでも効果があるので試してみてください。

また、私もよく行っていますが、東京に住んでいる方は都内にある庭園や公園に行ってみることをおすすめします。

【Googleストリートビューで観る】2023年度絶対行くべき!東京のおすすめ公園・庭園 10選

自然と健康には親密な関係があるのをご存知でしょうか。公園・庭園に行き、自然の中で過ごすことはストレス解消につながります。ハーバード大学医学部発表によると、週に1…

良質な睡眠をとる

睡眠というのは体を休めるというだけでなく脳を整理整頓し、日中のストレスによる傷を修復してくれる時間でもあります。

寝ている間も脳は動いていますが、睡眠が深くなるほど脳波の振幅は大きくてゆっくりとしたものになります。この間にストレスで傷ついた細胞の修復や、日中に見たこと・聞いたことの情報を記憶として定着させようと働きます。

深い睡眠に関わらず、どの睡眠の段階でも記憶の定着や消去には関係しています。

新しい記憶はまず「海馬」に入って短期記憶として整理されたのち、脳が覚えておくべきと判断した内容が大脳皮質へと入っていき長期記憶として定着していきます。

この海馬から大脳皮質への情報の伝達は、眠り初めの深いノンレム睡眠の時に行われます。

したがって、良質な睡眠をとるためには寝初めの睡眠の質にこだわることが重要であるということです。

では、睡眠時間についてはどうでしょうか。

しっかり寝るのは大事というのはわかりますが、実は無理に長時間寝るというのは健康上良くないようです。

カリフォルニア大学のDaniel Kripke氏が実施した100万人規模の追跡調査によると、病気で亡くなった人が最も少なかったのは睡眠時間が7時間の人たちでした。最も死亡率が高かったのは睡眠時間が短いグループ(3時間未満)ではなく、なんと睡眠時間が長いグループ(10時間以上)でおよそ1.3倍ほどに増加することがわかっています。

小さい頃から親にしつこく言われてきた「夜になったら寝なさい。朝はしっかり起きなさい。」ということは間違っていなかったようです。

睡眠時間の基準は7時間ですが、体質によっても必要な睡眠時間は異なります。夜10時には寝て自分が自然と目が覚める時間がどれくらいかを把握して、その時間はしっかり寝るようにするのが良いでしょう。

また、良質な睡眠を取りたい方はいくつか方法を書いているので確認してみてください。

【睡眠の質】良質な睡眠をとるためにすべきこと4選

今回は良質な睡眠をとるための方法について紹介しようと思います。 皆さんは、睡眠の質について考えたことありますか?人によってはなかなか寝付きが悪く、熟睡がほとんど…

「ストレス=悪」ではない

そもそもですが、ストレスは悪なのでしょうか。

世間では「ストレス」という言葉を悪いものとして表現することが多くあります。

確かに、慢性的なストレスによってうつ気味になったり不調を引き起こしたり、人生の満足度を下げるといった要因になることはあります。

しかしながら、ストレスが完全に悪いものかというとそういうわけではありません。

それどころかストレスはうまく利用すれば私たちの生活をより良いものに変えてくれるものなのです。

特にストレスに対してポジティブな印象を持っている人とネガティブな印象を持っている人では、健康に対する影響が全く異なったものになります。

ストレスに対してポジティブな印象を持っている人は、適度なストレスを受けると以下の2つのどちらかの反応をすることがわかっています。

  • 思いやり、絆反応
    ストレスを受けるとオキシトシンと呼ばれる幸せホルモンが分泌され、人と繋がりたいという気持ちを高めてくれます。
  • 挑戦、闘争反応
    ストレスを受けるとそれをバネに、何かにチャレンジしようと行動しようとする気持ちが強くなります。

このように、ストレスを受けることでプラスの行動や感情を作り出すことができるようになります。

したがって、重要なことは「ストレスは良いもの」と認識して、共存して行くことです。

ただし絶対に避けるべきストレスもあります。例えば慢性的なストレスは酸化ストレスによって身体中で炎症反応が起こり、心身や脳に深刻なダメージを残す可能性があります。

そのような場合はストレスの原因を特定し、根本解決するようにしましょう。

参考文献

  1. American Psychological Association
    https://www.apa.org/topics/stress
  2. Susan Abookire, BSEE, MD, MPH, FACP, Contributor. "Can forest therapy enhance health and well-being?". May 29, 2020. Harvard Health Publishing Resources.
    https://www.health.harvard.edu/blog/can-forest-therapy-enhance-health-and-well-being-2020052919948
  3. Patrick L. Hill1 and Nicholas A. Turiano. "Purpose in Life as a Predictor of Mortality across Adulthood". May 8 2014. PubMed Central.
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4224996/
  4. Daniel F. Kripke, MD; Lawrence Garfinkel, MA; Deborah L. Wingard, PhD;. "Mortality Associated With Sleep Duration and Insomnia". February 2002. JAMA Phychiatry.
    https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/206050