自分の子供や部下が思うように動いてくれなくてすぐイライラしてしまう。
怒らないようにするための考え方があれば知りたい
今回は「怒らない考え方」について紹介していきます。
日々の生活をしていると周囲の人の言動にイライラしてしまう、という人もいるかと思います。
怒りの第一次感情が何かを理解する
第一次感情とは不安・つらい・苦しい・痛い・嫌 だ・疲れた・寂しい・虚しい・悲しいなどのネガティ ブな感情のことを指します。
怒りの感情は目の前の現象が起因で発生するのではなく、第一次感情によって引き起こされます。例えば以下のような流れで怒りの感情が起きます。
- 友達が約束の時間に来なかった → 悲しい → 悲しい気持ちが友達へのストレスとなって怒る
- 門限に息子が帰って来なかった → 心配 → 心配が募り怒る
- 部下が思うように動いてくれない → 失望、不安 → 期待が失望に変わるのと同時にプロジェクト推進への不安が募り怒る
- 角に小指をぶつけた → 痛い → 痛みに耐えるストレスを発散しようと怒る
上記のように怒りの感情というのは、ネガティブな感情によって引き起こされているケースが大半です。したがって怒らないようにするためにはこのネガティブな感情が引き起こされないための考え方をすることがポイントになります。
怒るのは何かを確信した時
自分が怒った時にどのような考えていたか覚えていますか?おそらくですが、怒っていたことや怒りの元に対して何かしら確信的な気持ちを持っていたのではないでしょうか。
- 恋人の言動が怪しいと思っていたら、街で知らない人と仲良く歩いているのを目撃した
- 心配しているつもりで、自分のことしか考えていないことに気がついた
- 中の良いグループで「わざと」自分だけパーティに招待をしなかった
事実かどうかは関係なく、目の前で起こっていること、思っていることが自分の中で確信に変わった瞬間にそのネガティブな感情は怒りへと昇華します。1
もし、他の可能性が十分にあったり自分の勘違いと思えるような状況であれば第一次感情である「不安」や「失望」などの感情で止まります。
周囲で怒っている人がいたら、その人の中で確信に変わるような心理的変化があったと考えて問題ないでしょう。
「これからどうするか」に集中する
最近怒りを覚えた時のことを思い出してみてください。
おそらく現在、もしくは過去に起きたこと、もしくは自信の妄想よって引き起こされているものではないでしょうか。
もしそうであれば「これからどうするか」解決方法に集中するようにしてみましょう。
- 友達が約束の時間に来なかった → 予約していたレストランを諦めて今から入れる店を探す
- 門限に息子が帰って来なかった → 心配していたことを伝えて、どうして守れなかったのか息子と会話する
- 部下が思うように動いてくれない → こちらの期待を正確に伝えて敬意を持ってコミュニケーションをとってみる
- 角に小指をぶつけた → 角を柔らかいもので保護しておく
他人が怒りの原因になっているのであれば、その人に怒りをぶつけても何も変わりません。
コントロールできないことをなんとかしてコントロールしようとするのは思うように状況を変えられないことが多いため、ストレスが溜まる一方です。
コントロールできないことに集中するのではなく、コントロールできる事に対して「これからどうするのか」ということを考えることが重要です。
誰に対しても感謝の気持ちで接する
人に何かして感謝されると気持ちが良いように、感謝の気持ちはポジティブな感情を引き起こすだけではなく、良い人間関係を構築することにも貢献します。
実際に2010年に行われたメタ分析からも感謝の気持ちは性格、人間関係、健康との関連性があることが報告されています。2
いつも感情的で怒っている人のアドバイスよりも周囲の人に敬意を持って誰に対しても感謝の気持ちで接している人のアドバイスの方が素直に聞きれることができますよね。
感謝を通して周囲との信頼関係を高めることで怒りの第一感情が起こりづらくなり、怒りの感情が起きにくくなります。
あなたの「ありがとう」の一言が怒りの感情を大きく引き離すことにつながります。どんな些細なことでも人に何かしてもらったら「ありがとう」と言葉にしてみてください。
アサーションする
アサーションとはお互いの価値観を尊重しつつ、余白のある自己主張をするための方法です。
自分の気持ちを押し殺したり、相手がどう思っているのかを悶々と考えると第一次感情の不安が募って怒りにつながります。
- これを伝えたら相手は失望するんじゃないか
- 実は自分のことが嫌いなんじゃないか
- こんなことを言ったら迷惑なんじゃないか
- 伝えても何も変わらないんじゃないか
このような気持ちは相手と向かい合ってしっかり伝えることが慢性的な怒りを引き起こさない方法です。
注意点は「伝え方」です。間違ってもやってはいけないのは、断定表現で自分の意見を押し付ける行為です。
- それは絶対におかしい
- 私は悪くない
- 断固としてそうは思わない
断定表現を使った瞬間、相手は「この人には何を言っても無駄だ」と思ってしまい、思っていることを伝えてくれなくなってしまいます。
世の中様々な考え方・価値観を持っている人がいることを前提として、余白のある自己主張を心がけるようにしましょう。
- 〜といった考え方もできると思うんだけど、どうかな?
- 自分の〜は良くなかったと反省しているし、今度から〜のようにするね。ただ、〜されたことは悲しい気持ちになったかな。
- 確かにそういった考え方もあるよね。私としては〜のように考えたんだよね。
余白のある自己主張をすることで、相手も自身の気持ちを主張しやすくなります。
どうしても自己主張することに抵抗がある人は、まずは感謝を伝えることから始めてみましょう。
感謝されて嫌な顔をする人はいません。人に何かしてもらって嬉しいと感じたら「〜してくれて本当に嬉しかった、ありがとう」と伝えてみましょう。
他責志向を止める
他人に失敗した責任を押し付けるということは、怒りの矛先を作るということです。
つまり、他責志向というのは自分の怒りを増幅させるための手助けをしてしまっているのです。
他責にするのは簡単ですが、問題は一つも解決しません。
とはいっても無理に自分の責任にする必要はありません。失敗した時は「自分にもっとできることはなかったか」と自省するくらいがちょうど良いです。
感情を操るための基本は自分でコントロール可能なことに集中することです。今日から他責志向をやめて変えることのできることに焦点を当てましょう。
思い込みを止める
思い込みで人を判断していたが実際に話してみたら想像とは違った、という経験はないでしょうか。
将来を予想したり、何かを想像するというのは狩猟採取時代に棄権から身を守るために身につけてきた人の知恵です。
つまり、その子孫である私たちは目の前の事象をそのまま受け止めるだけでなく、その先にどうなるのか考える癖を持っています。特にこの傾向はネガティブなことを考える傾向にあります。
- 「嬉しい」と言ってプレゼントを受け取ってくれたけど、本当は「いらない」と思っているのではないか
- 親切に接してくれた不動産営業の方だけど、実は自分の利益の事しか考えていないかもしれない
- 仲良くしてくる友達も裏で陰口を言ってるかもしれない
- 彼氏、彼女の家に知らない歯ブラシがあるけど、もしかして浮気しているかも
思い込みによる苛立ちというのは自分の体にも良くありません。
女性を対象に、反芻思考とテロメラーゼ値の関係について調べた研究では、ネガティブな出来事を思い返す回数が多い人ほど、酸化ストレスによる細胞の老化スピードが速くなっていることがわかっています。3
「自分の体のために、あのことを考えるのはやめよう」と唱えて目の前のことに集中するのが良いでしょう。
もし怒りでストレスが溜まった時の解消法については下記で紹介しています。
参考文献
- JENNIFER S. LERNER, LARISSA Z. TIEDENS. "Portrait of The Angry Decision Maker: How Appraisal Tendencies Shape Anger’s Influence on Cognition". Journal of Behavioral Decision Making J. Behav. Dec. Making, 19: 115–137 (2006) Published online in Wiley InterScience. DOI: 10.1002/bdm.515
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/bdm.515 ↩︎ - Alex M Wood, Jeffrey J Froh, Adam W A Geraghty. "Gratitude and well-being: a review and theoretical integration". Clin Psychol Rev. 2010 Nov;30(7):890-905. doi: 10.1016/j.cpr.2010.03.005. Epub 2010 Mar 20.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20451313/ ↩︎ - Elissa S. Epel, Eli Puterman, Jue Lin, Elizabeth Blackburn, Alanie Lazaro, Wendy Berry Mendes. "Wandering Minds and Aging Cells". First published online November 15, 2012
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/2167702612460234 ↩︎