今回は私が今までに実践してきた本当におすすめしたい運動習慣についてTOP5を紹介します。専門家の本や論文をもとに効果的であると実感しているものに厳選して紹介します。一つでも新しい発見があればぜひ実践してみてください。
筋トレをする
筋トレは全ての人におすすめしたい運動習慣です。特に80歳になっても元気に動き回っていたいという人には筋トレを強くおすすめします。
都内を中心にスポーツジムの店舗数が増えてきています。中には私服OKでカジュアルなジム環境が増えてきています。しかし一部の人には「筋トレ=マッチョになるためにやること」という固定概念を持っている人がいます。
筋トレは単に筋力を強くするというだけでなく以下のようなメリットがあります。
筋トレのメリット
- 基礎代謝の向上
筋肉量が増えると、基礎代謝率が上がりより多くのカロリーを消費するようになる。これにより太りづらい体を作ることができる - 骨密度の向上
重量を持ち上げるトレーニングは骨を強化し、骨密度を高める。特に高齢者にとって重要で、骨粗しょう症のリスクを減少させる - 心肺機能の向上
心肺機能を強くし、高血圧やその他の心血管疾患のリスクを減らす - メンタルヘルスの改善
運動はストレスを減らし、うつ病の症状を緩和することが知られている。筋トレも同様にストレスを減らし、メンタルヘルスの改善につながる
実際に筋トレが健康寿命を伸ばすことに関連する研究がいくつかあります。例えば、東北大学大学院医学系研究科、早稲田大学、九州大学の研究グループによる研究では、筋トレが総死亡リスク、心血管疾患、がん、糖尿病のリスクを10〜17%低下させることが示されています。1
一方、筋トレの時間が週130~140分を超えると、総死亡・心血管疾患・がんに対するリスクはむしろ高い値を示しています。やりすぎには注意が必要ということですね。
他にも、効果を大きくするために筋トレで避けるべき行動もあり、その点については下記で紹介しています。
1日60分以上有酸素運動をする
筋トレの次におすすめしたいのが有酸素運動です。この場において何が有酸素運動かを先に定義しておきます。
身体活動の強度を表す指標の一つとしてメッツ(Mets)があります。メッツとは座って安静にしている状態を1メッツとした場合、各身体活動が何倍のエネルギー消費量であるかを数値化したものです。この場では3メッツ以上の身体活動を有酸素運動とします。
国立健康・栄養研究所の『改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」』によれば、3メッツ程度の身体活動というのは以下のようなものがあります。2
3メッツ程度の身体活動(有酸素運動)
- 歩行:4.0km/時、平らで固い地面
- 掃除全般
- 子どもを抱き抱えて移動する:体重6.8kg以上の子ども
- 大工仕事:全般、作業場で
- 座位:美術品や工芸品、木彫りの工芸品を作る、機織り、紡績、ほどほどの労力
- 静養・家族で親睦伒:子どもとゲームをして遊ぶ
- ギターの演奏:ロックンロールバンド、立位
- ボウリング
上記のような有酸素運動をどれくらいの時間行えば良いのかについて、厚生労働省の『アクティブガイド』で述べられています。このガイドによると18歳から64歳の人には1日60分以上、65歳以上の人には1日40分以上体を動かすことを推奨しています。3
まとまった時間で行う必要はなく、1日を通して60分以上体を動かせば大丈夫です。メッツ表を見るとわかりますが、掃除や育児など、生活の中に3メッツを超えるものがいくつもあります。そのような活動を増やすことで推奨時間を達成するのが取り組みやすくておすすめです。
「それでも60分も体を動かすのはしんどい。。」と思う人は、15分のジョギングだけでも良い効果があります。
2014年にアイオワ州立大学で行われた調査では1日15分程度のジョギングをすることで、心臓発作による死亡リスクが45%減り、全死因死亡率が平均30%も低下していることを示唆しています。4
毎日の15分を運動に充てるだけでもその後の健康に大きな影響を与える可能性があります。特に、朝の軽いジョギングは気持ちいいのでおすすめしたいです。ぜひ優先的に生活に取り入れてみてください。
HIITをする
HIIT(High Intensity Interval Training)とは、バーピーやダッシュなどの高強度の運動と短い休憩を高頻度で繰り返し行う運動法です。1セット8分の短時間で行うことができて、通常の運動と同じような以下の効果が得られる有効な方法です。
運動による効果
- 肥満を防ぐ
- 免疫力を高める
- ストレス耐性を高める
- 免疫力を向上させる
- 抗うつ作用がある
- 脳を成長させる
2019年にハイデルバーグ大学で行われてた運動の種類とテロメア伸長の間の関係について行った研究では、被験者を「運動しない」「有酸素運動」「HITT」「筋肉トレーニング」の4種類にグループ分けした時のテロメラーゼの変化を調べています。結果としては、顕著な効果が得られたのは「有酸素運動」と「HIIT」でした。5
有酸素運動は準備含めて時間がかかるので、短時間で効果を得たい人にはHIITがおすすめです。
詳しいHIITのやり方については下記で紹介しています。
朝ジョギングやエクササイズをする
朝の時間を有効に活用することは、その日の生産性を大きく変えます。特に、朝ジョギングをしたり、エクササイズを行うことは以下のようなメリットがあり、おすすめしたい習慣の一つです。
朝ジョギングやエクササイズをするメリット
- 習慣にしやすい
朝の時間は、他の人に邪魔されずに自分のためだけに時間を使うことができる時間帯。他の予定に邪魔されることがないため習慣化しやすい - 心身の活性化
朝のジョギングで朝日を浴びると体内時計が整い、一日を通してエネルギーレベルを高く維持することができる。また、体内でセロトニンやエンドルフィンが分泌され、心身の活性化に貢献します - 脂肪燃焼効果
朝は空腹状態であり、活動エネルギーは体内の脂肪エネルギーに変換して使われる。そのため、他の時間帯に比べて脂肪燃焼効果が高くなる - ストレス軽減
朝の運動はストレスホルモンのレベルを下げ、リラックス効果をもたらす。また、セロトニンの分泌が慢性的なストレスの軽減につながる
就寝60分前に運動は済ませる
ジムで筋トレしたりスポーツを行うと一時的に交感神経が優位となります。就寝前は副交感神経が優位となるため、運動を寝る直前に行うと自律神経が乱れて睡眠の質を下げてしまう場合があります。
運動強度によって睡眠に影響がない場合もありますが、基本的に就寝60分前に運動は済ませおくのが無難です。最終的には運動内容、年齢、体質によって睡眠への影響は異なるため、自分に合った運動スタイルを確立することをおすすめします。
- Haruki Momma, Ryoko Kawakami, Takanori Honda, Susumu S Sawada. "Muscle-strengthening activities are associated with lower risk and mortality in major non-communicable diseases: a systematic review and meta-analysis of cohort studies". Br J Sports Med. 2022 Jul;56(13):755-763. doi: 10.1136/bjsports-2021-105061. Epub 2022 Feb 28.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35228201/ ↩︎ - 国立健康・栄養研究所『改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」』
https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf ↩︎ - 厚生労働省(2013)『アクティブガイド -健康づくりのための身体活動指針-』
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpr1.pdf ↩︎ - "Leisure-Time Running Reduces All-Cause and Cardiovascular Mortality Risk" Duck-chul Lee, PhD, Russell R. Pate, PhD,Carl J. Lavie, MD, Xuemei Sui, MD, PhD, Timothy S. Church, MD, PhD, and Steven N. Blair, PED
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4131752/ ↩︎ - "Differential effects of endurance, interval, and resistance training on telomerase activity and telomere length in a randomized, controlled study" Christian M Werner, Anne Hecksteden, Arne Morsch, Joachim Zundler, Melissa Wegmann, Jürgen Kratzsch, Joachim Thiery, Mathias Hohl, Jörg Thomas Bittenbring, Frank Neumann, Michael Böhm, Tim Meyer, and Ulrich Laufs
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30496493/ ↩︎