今回は私が今までに実践してきた本当におすすめしたいメンタル習慣についてTOP5を紹介します。専門家の本や論文をもとに効果的であると実感しているものに厳選して紹介します。一つでも新しい発見があればぜひ実践してみてください。
毎日5分マインドフルネス瞑想をする
最近は瞑想の効果が世間に広まってきており、何か怪しげな精神論と思っている人は減ってきているように感じます。
実際に瞑想はストレス軽減効果があることが様々な研究で判明しており、現在ではGoogleやUCLAなど誰もが知っている企業や大学で導入されているストレス軽減法です。
瞑想にはいくつかの種類があります。私のおすすめは「マインドフルネス瞑想」です。
やり方は以下の通りです。
基本姿勢をとる
- 椅子に座ったら背筋を伸ばす(骨盤から首筋まで背骨がまっすぐになっている感覚)
- 腹筋は力を入れず、手は太ももの上に置く
- 意識に集中するために、目を閉じる
意識を体の感覚に向ける
- 手が足に触れている感覚、お尻が椅子に触れている感覚、体が触れている感覚に意識を向ける
- 体が重力で下に引っ張られる感覚に意識を向ける
呼吸に注意を向ける
- 鼻呼吸をする時に鼻を通る空気、空気が出入りして上下する胸とお腹の感覚を意識する
- 無理に深呼吸する必要はなし
- カウントするのも意識が呼吸からずれてしまうため不要
呼吸に雑念が浮かんできたら
- 雑念が浮かんできたことに「気づき」注意を呼吸に意識的に戻す
- 雑念が浮かぶのは当然なので自分を責めるない
毎日続ける
- 毎日続けると徐々に疲れにくい脳が出来上がる
- 習慣化するためにも、できれば毎日同じ場所、同じ時間に行う
まずは1日5分から、ストレスで辛い時、朝起きた時、仕事する直前、夜寝る前などの時間を使って実践してみてください。
サウナに行く
サウナと聞くとビール腹のおじさんが娯楽で楽しんでいるイメージがあるかもしれませんが、最近では「サ道」の影響もあって若者もサウナに行く人が増えています。
入浴と同様に、サウナは短時間で体を高温および低温の環境に晒すことになります。入浴よりもより温度差の大きい環境の場合、健康にどのような影響を与えるのでしょうか。
サウナ大国であるフィンランドを例に紹介します。2015年にフィンランドで行われたフィンランド東部に住む男性2315人を対象として約20年にわたって追跡調査では、サウナを頻繁に利用する人(週に数回)利用する人は週1回の人よりも、心疾患の発症率や全死因死亡のリスクが50%低かったことを示しています。1
大半のフィンランド人男性は週1回以上のサウナが習慣になっています。そのため、どちらもサウナに入ることが習慣ではあります。だた、短時間で体を高温および低温の環境に晒す頻度が多くなるほど死亡リスクが減少する可能性があるということを示唆しています。
最近は都内を中心として、サウナ施設が急増しているので、近くのサウナ施設を探して定期的に行ってみましょう。私なりのサウナの入り方は下記の通りです。初めての方は参考にしてみてください。
サウナの入り方
- サウナ室
高温多湿のフィンランド式サウナがおすすめ。姿勢を正してゆっくり呼吸をする。我慢しすぎない。
※滞在時間の目安は10分前後 - 水風呂
心臓に負荷を掛けないよう息を吐きながらゆっくり入る。「羽衣」が取れないようにじっとして入る。末端神経は過冷却となるので、足と手は水風呂から出すと冷感が緩和される。入りすぎない。
※滞在時間の目安は1分弱 - 外気浴
座ってくつろげる場所で目を閉じて深呼吸をする。
※滞在時間の目安は5〜10分(時期による)
詳しくは下記で紹介しています。
外で朝日を15分浴びる
お金を掛けずに最高の気持ちになる方法を聞かれたら「外で朝日を浴びること」と答えます。
もちろん、体にとっても良い効果があります。人間は就寝中においても、夜から朝にかけて明るくなっていく変化を感じ取っています。これによって、ゆっくりと覚醒して体内時計がリセット・正常化されます。
また、朝日を浴びると左脳と右脳の間にある松果体から分泌されるメラトニンが抑制されます。メラトニンは睡眠ホルモンで分泌されると自然な睡眠を誘う作用があります。これが朝日によって抑制されると15時間後にまた分泌がされるようになります。したがってゴールデンタイムの22時に入眠する前提で、朝の7時には朝日を浴びるのが理想です。
朝日を浴びる目安の時間は15分です。15分日光を浴びれば、上記の効果を得ることができます。
効果を得ること以上に大事なことがあります。朝外に出た瞬間、視界いっぱいに広がる澄んだ青空と少し冷たい空気を吸うだけで、その日最高の気持ちで過ごすことができます。最高な気持ちになるのにお金は必要ありません。今すぐ外で朝日を浴びてください。
自然の中で過ごす
近くの公園・庭園に行く、河川敷でゆっくりする、植物園に行く、休日に山まで出かける、場所は問いませんが自然の中で過ごすことはストレス解消につながります。
ハーバード大学医学部のスーザン・アボーカイル氏によると、週に120分以上自然の中で過ごすと健康レベルと幸福度が向上することがわかっています。
森林浴やトレッキングなど緑一色の大自然の中で過ごすことでストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑制され、過度な不安や悩みが和らぎます。
森に行く時間が取れないという方は家に観葉植物を置いたり、スマホの壁紙を自然を感じるものに変えたりすることで、視覚的に緑を増やすだけでも効果があるので試してみてください。
また、私もよく行っていますが、東京に住んでいる方は都内にある庭園や公園に行ってみることをおすすめします。
たくさん笑う
突然ですが、最後に笑ったのはいつですか?ついさっきという人もいれば、いつ笑ったか覚えていないという人がもしかしたらいるかもしれません。
4歳の子供は1日に300回近く笑うのに対して、大人は1日に15回しか笑わないという事実があるようです。2 私の経験上あながち間違っていないと思います。公園で遊んでいる子供を見ると、確かに笑ってひたすら駆け回っていますよね。
実際に、笑うことが体に良い影響があることが様々な研究で明らかになっています。2012年にカンザス大学で行われた研究では、笑顔になることで心拍数が下がり、ストレスレベルが下がることがわかっています。3 実際に笑えることがなくても口角を上げるだけでも効果があるようです。ぜひ人が見ていない時に満面の笑みにする癖をつけてみることをおすすめします。
他にも、笑うことにはメリットがあります。例えば下記のようなものです。
笑うことのメリット
- セロトニンが分泌されて幸福を感じる
- 副交感神経が優位となって血圧が下がる
- 免疫力が上がる
- ポジティブになる
アファメーションをする
アファメーションとは、「自分なら絶対合格できる!」「今日も最高の1日にする!」と理想や目標達成した姿を思い描き、それを口に出すことで前向きな気持ちになるためのマインドセットを指します。
前向きな言葉を何度も繰り返し唱えることで、潜在意識にそれを植え付けることができます。潜在意識がそれを信じるようになると、それに向けた行動をしやすくなったり、生活の中から役に立つ情報を見つけられるようになるというものです。
「そんなことに本当に意味があるのか?」と疑問も残るかもしれませんが、最近になって有効性を示す研究報告がいくつも上がってきています。
nature誌に掲載されたアファメーションが脳の認知機能と結合性に与える影響を調べた研究によると、アファメーションによって自己尊重が高められると実行力向上に伴う認知機能の向上があることを示唆しています。一方で、自己尊重が高められることで衝動性の高い行動をしてしまうということはあるようです。また、アファメーションの研究はまだ日が浅いため、長期的にどのような影響があるかは白黒はっきりしていないところがあります。4
実行力向上する可能性があるということであれば、使わない手はありません。目標や夢はあるのに怠けてしまうような人であればなおさらです。今日から実践しましょう。
本を読む
本を読まない人は「今どきYouTubeやTwitterで情報は集められるし、本を読む価値ってある?」と思うかもしれません。しかし、そのような時代だからこそ、本を読むことをおすすめします。
理由としては、本でなければ得ることのできないメリットがあるからです。例えば、インターネット媒体にはなくて、本にあるメリットとは以下のようなものです。
インターネット媒体と本の違い
- 情報が断片的か
インターネット媒体はPVを稼ぐために大衆に向けた断片的または表面的な情報を扱う傾向にあります。情報の繋がりや背景について詳しく説明されることがない場合、誤った認識を持ってしまう可能性があります。本はある一つのトピックに対して10万字前後の文章で情報を提供します。そのため、情報が断片的ではなくなると言う特徴があります。 - 情報の信頼性が高いのか
インターネットは無責任に誤った情報を発信することができます。一方で、本、特に学術書や専門書は編集や校正のプロセスを経て科学的根拠や裏付けがしっかりなされているかチェックされるため、質の高い情報を得ることができます。 - 思考する余地があるか
動画などの媒体は基本的に一方向のコミュニケーションです。こちらの理解に関わらず一定の速度で情報の雨を浴びることになります。そのため、情報が正しいのか、他の考え方ができるのではないかといった思考をする余地が非常に少ないです。本は自分の速度で理解しながら進めることができ、書いてあることに対して自分なりの考え方と照らし合わせる双方向のコミュニケーションが可能です。この思考する余地があると言う点が、自分の考え方を醸成するにあたって非常に重要です。
自分に槍を向けるようですが、この情報もインターネット媒体での情報であり断片的な情報です。実際に本を読んで上記のような違いを実感することで、本を読む意義を見つけて貰えばと思います。
「何を読めばよいか分からない。。」と言う人は、本屋を回っていて気になった本を全て買って読むことをおすすめします。それが遊びの本だろうが、絵本だろうが問題ありません。習慣がない人は、まず1文字でも本を読むことから始めてみてください。
考えていることを紙に書き出す
やらないといけないことが積もっていたり、悩みが溜まっている時に、紙に書き出すことで頭が整理されて不安が解消するということがあります。
頭の中に思い浮かんでいることをありのまま紙に書き出して不安を解消し、ストレスを軽減する方法を「ジャーナリング」と呼びます。
大学生を対象に行った実験では、大学生を二つのグループに分けて、一方は「人生最大のトラウマについて」を、もう一方は「自分の感情には関係のないこと」を4日連続で15分間書かせるということを行いました。結果としては、「人生最大のトラウマについて」について書いたグループは、そうでないグループに比べて心身の健康が向上したと報告しています。5
つまり、過去の大きなストレスを思い出して、それをありのまま書き出すことが、心身に対してより良い効果を与えるということです。6
書くタイミングについては仕事終わりや寝る前など、その日の振り返りを行うのに適したタイミングがおすすめです。
今日はどのようなことに対してイライラしてしまったのか、頭の中に残り続けている悩みは何か、言いたいけど言えていないことはあるか、その日に溜まったものを全て紙に書き出すことで慢性的なストレスを解消する助けになります。
実際に書き出すようになると、ストレスが消えて心に余裕ができるため、日々の生活が楽しく感じるようになります。ありのまま書き出すというのは恥ずかしいと思うかもしれません。しかし気にする必要はありません。誰が見るわけでもないのでおもいっきり書いてみてください。
ジャーナリングの具体的な実践方法は以下の通りです。
ジャーナリングの具体的な実践方法
- 水性ボールペンとA4の印刷用紙を用意する
- 自分の頭の中にあるテーマについて書き続ける
- 気をそらせるものがないプライベート空間で行う
- 事実や気持ちをありのまま書く
- 誤字、脱字は直さない
- 1枚2分のペースで書く
書いたものは捨ててしまっても問題ないです。しかし、自分自信の気持ちを客観的に見返す材料になります。残しておいてあとで見直してみるのも効果的です。「前に自分はこのような感情になっていたのか」、「そう言えばこんな事をずっと考えてたな」と客観的に自分の感情を見ることも効果的です。
さらに詳しく知りたい方は赤羽 雄二さんが書かれた「ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング」という本がおすすめです。気になる方は購入して読んでみてください。
不要なストレスから逃げる
不要なストレスというのは「自分の人生に関係ないストレス」を指します。
例えば以下のようなものです。
- 他人と比較して劣等感を感じる
- 将来への過度な心配
- SNSでの誹謗中傷を受ける
- ネガディブニュースを見る
- 周囲からの評価を気にする
これらによるストレスは、生きていく上でなくてもよい不要なストレスと私は考えています。嫌なことや苦手なことでも我慢してやりなさい、と学校で教わった人もいるかも知れません。「ストレスなどの辛いことから逃げるのは恥ずかしいことだ」と内心で思う人もいるかもしれません。
しかし、それは間違っています。自分に変えられることは限られています。逃げるというのは真っ当な一つの解決策です。
もちろん、全てのストレスから逃げれば良いと言う話ではありません。未知のことに挑戦したり、誘惑に打ち勝つといったストレスは意志力を高めて、目標達成に近づくための必要なストレスです。
自分の人生のためになるストレスなのか、関係のない不要なストレスなのか見定めましょう。もし不要なものであれば全力で逃げましょう。
「ストレス=悪」という考え方を捨てる
「ストレス」と言う言葉はネガティブな文脈で使われることが多くあります。しかし、「ストレス=悪」という考え方は今日で捨てましょう。確かに、慢性的なストレスによってうつ気味になったり不調を引き起こしたり、人生の満足度を下げる要因になることはあります。
しかしながら、ストレスが完全に悪いものかというとそういうわけではありません。それどころかストレスはうまく利用すれば自分をより良いものに変えてくれるものなのです。
ストレスに対してポジティブな印象を持っている人がストレスを受けると以下の2つのどちらかの反応をすることがわかっています。
ストレスに対する反応
- 思いやり、絆反応
オキシトシンと呼ばれる幸せホルモンが分泌されて人と繋がりたいという気持ちが高まる - 挑戦、闘争反応
ストレスをバネに、何かにチャレンジしようと行動しようとする気持ちが強くなる
また、ストレスに対してポジティブな印象を持っている人とネガティブな印象を持っている人では、体に対する影響が全く異なったものになります。2011年に行われた研究では、ストレスが健康に悪影響を及ぼすという認識によって早死リスクが43%も増加すると報告しています。7
先ほども説明した通り、不要なストレスからは逃げることをおすすめしますが、必要なストレスであれば自分の力になり得えます。まずはストレスに対する認識を改めて、不要な精神負担を抱えないようにするのが先です。
参考文献
- Tanjaniina Laukkanen, Hassan Khan, Francesco Zaccardi, Jari A Laukkanen. "Association between sauna bathing and fatal cardiovascular and all-cause mortality events". JAMA Intern Med. 2015 Apr;175(4):542-8. doi: 10.1001/jamainternmed.2014.8187.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25705824/ ↩︎ - ZUR INSTITUTE. 『Humor in Therapy』
https://www.zurinstitute.com/clinical-updates/humor-in-therapy/ ↩︎ - Tara L Kraft, Sarah D Pressman. "Grin and bear it: the influence of manipulated facial expression on the stress response". Psychol Sci. 2012;23(11):1372-8.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23012270/ ↩︎ - Junhyung Kim, Joon Hee Kwon, Joohan Kim, Eun Joo Kim, Hesun Erin Kim, Sunghyon Kyeong & Jae-Jin Kim. "The effects of positive or negative self-talk on the alteration of brain functional connectivity by performing cognitive tasks". Scientific Reports volume 11, Article number: 14873 (2021)
https://www.nature.com/articles/s41598-021-94328-9 ↩︎ - J W Pennebaker, S K Beall. "Confronting a traumatic event: toward an understanding of inhibition and disease". J Abnorm Psychol. 1986 Aug;95(3):274-81. doi: 10.1037//0021-843x.95.3.274.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3745650/ ↩︎ - J W Pennebaker. "Putting stress into words: health, linguistic, and therapeutic implications". Behav Res Ther
. 1993 Jul;31(6):539-48. doi: 10.1016/0005-7967(93)90105-4.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8347112/ ↩︎ - Abiola Keller, Kristin Litzelman, Lauren E Wisk, Torsheika Maddox, Erika Rose Cheng, Paul D Creswell, Whitney P Witt. "Does the perception that stress affects health matter? The association with health and mortality". Health Psychol
. 2012 Sep;31(5):677-84. doi: 10.1037/a0026743. Epub 2011 Dec 26.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22201278/ ↩︎