今回は私が今までに実践してきた本当におすすめしたい時間習慣についてTOP9を紹介します。専門家の本や論文をもとに効果的であると実感しているものに厳選して紹介します。一つでも新しい発見があればぜひ実践してみてください。
習慣にしたい行動を66日継続する
歯磨きや朝シャワー、朝食を摂る、出勤するなどは毎日意識しなくても取り組みます。同じように新しい行動も徐々に習慣になると意識しなくても取り組めるようになります。
では、同じように新しいことが意識しなくても取り組めるようになるためにはどれくらい日数がかかるのでしょうか。
2009年にロンドン大学で発表された習慣化の形成に関する調査では、平均年齢27歳の被験者約100人に対して、食事や運動についての新しい行動を取り入れてもらい、習慣として定着したかを判定する指標であるカチッサー効果が現れるようになった日数を調べています。その行動のハードルの高さによって習慣になるまでの日数は変動しますが、中央値として66日かかるという結果が出ました。1
したがって、習慣化したい行動を66日間継続することができれば、あとは実行力に関係なく自動的に取り組むようになる可能性をこの調査から読み取ることができます。
どのような行動も「やっても意味ないんじゃないか」という精神的なブレーキが初めのうちは強くかかります。個人的経験則ですが、新しい行動を続けて1ヶ月ほど経つと、精神的なブレーキは小さくなり自然と取り組むようになってきます。
新しい習慣を身につけることができずに挫折してしまう人はこの66日という数字を意識して、この日数までは根気強く取り組んでみましょう。
通勤時間を最小にする
あなたの通勤時間は何分ですか?ここでの通勤時間は、家の玄関を出て会社のエントランスに入るまでに掛かる時間です。
2021年に総務省統計局が実施した「社会生活基本調査」によると、通勤時間の全国平均は往復で1時間19分という結果が出ています。2 テレワークが普及して通勤しなくなる人が増えた一方で、まだ通勤に1時間以上掛けている人が多くいるのが実態です。
あなたが「住む場所」を選択でき、少しのお金の余裕があるのならば通勤時間を最小にすることを強くおすすめします。
メリットは2点あります。
通勤時間を最小にするメリット
- ストレスが減る
- 朝と夜の時間を有効活用できる
1つ目のストレス低減について、通勤時間とストレスの関係を調べた研究がいくつかあります。カナダや欧州を対象として行われた調査では、通勤に費やす時間の増加が生活満足度低下と時間への過度なプレッシャーに関連があると報告しています。3 4
2つ目の時間の有効活用について、通勤時間に使っていた時間を趣味や自己研鑽などに活用することができます。当たり前ですが、時間を効率的にお金で買えるという観点で、通勤時間を削減することは個人的にかなり重要だと感じています。
昔社宅に住んでいた頃、職場が離れた場所だったため、通勤に往復3時間もかかっていました。朝は本を開く余裕もないほどの満員電車に乗って、夜は疲れ果てて電車で寝落ちする生活を繰り返していました。そのような生活を繰り返していると、例え時間があっても平日は仕事以外に何かやる気には全くなれませんでした。
今は通勤に20分も掛けていないので、朝は読書、夜は運動をすることができるようになっています。この生活の変化は単にモチベーションが高くなって行動するようになったからというわけではありません。「通勤時間が削減された」という環境変化によって読書や運動などの新しい行動のハードルが下がって実行につながっています。
家事の時間を最小にする
「家事が趣味で好きで仕方ない!」という人を除いて、家事に掛ける時間は最小にすべきだと思っています。
もちろん、家事を雑にやっておけば良いということではありません。今までと同じ品質を保ちつつ短い時間で行う方法を取り入れると言うことです。現代は自動でやってくれる家電や代行サービスが沢山出てきています。
例えば、家事を減らす方法は以下のとおりです。
家事の負担を減らす方法
- 乾燥機付き洗濯機を使う
- 食洗機で皿洗いを効率的に行う
- ロボット掃除機に床の掃除を任せる
- 空気清浄機でホコリが溜まりづらくする
- 水回りのタオルをペーパータオルにして洗い物を減らす
- ゴミ箱はリビングの1箇所にだけ置く
- 着る服やタオルは浴室の近くにまとめておく(洗濯機から遠いところまで運ばない)
- 水やティッシュ、シャンプーなどの生活消耗品は定期購入にする
- 家事代行を使う
お金が掛かるものもありますが、どれも費用対効果が高いのでぜひ導入してほしい方法です。(他にもAlexaなどのスマート家電を活用して自動化する方法はありますが、今回は割愛します。)
ポモドーロテクニックで短期集中する
ポモドーロ・テクニックとは、集中する時間と休憩時間を繰り返すことで短期集中し、生産性を上げる時間管理術の一つです。
やり方は非常にシンプルで、以下の3ステップを繰り返すだけです。
- タイマーを25分に設定して作業を開始する
- タイマーが鳴ったら5分の休憩をとる
- 4回繰り返したら30分の休憩をとる
これを繰り返すことで集中力と注意力を維持することができ、生産性を上げることにつながります。仕事や読書などの集中したい時に活用してみてください。
興味が湧いたことは今すぐ行動する
街を歩いたときに目に映るビルの広告や雑誌の表紙、SNSの先で理想の生活をしている人たちなど、色んなものが目に入ります。日々そのようなものを見ている中で、「これ面白そうだな」と興味が湧いた経験はないでしょうか。
もし興味が湧いた経験をしたのなら、今すぐ動き出すことを強くおすすめします。人生をより充実させるためには行動しかありません。
良さそうだなと思いつつも、そのための行動を起こさないということを繰り返してきている人が沢山います。実際に行動を起こすよりも、その行動をしている人に対して評価しているだけの方が楽ですからね。
実際にやってみて、「これは違うな」と思ったとしてもそれも収穫です。少しの遠回りをしたり、間違いを犯したとしてもそれを教訓として行動し続ける。誰かが自分を幸福にしてくれるという宝くじ気分では人生は好転しません。一緒に今すぐ行動しましょう。
過去を振り返らない
「あの時こうしていればよかった」と悔やみながら、過去に上手くいかなかったことを考えても何も変わらない、ということは誰でも理解しています。それでも過去のことに意識が向いてしまうという人が多いかと思います。
解消する方法は一つです。「今に夢中になる」ことです。
夢中になって取り組んでいた経験を思い出してみてください。時間を忘れて長時間仕事をしたり、1人で海外旅行に行って未知の経験をしたり、身体の限界までトレーニングで追い込んだり、人それぞれ1つは絶対にあったはずです。それをもう一度見つけるのです。
それを見つけるためには、先ほど述べた通り「興味が湧いたことは今すぐ行動する」ことが必須です。その興味が時間を経て夢中に変わっていく可能性を持っています。
過去を振り返らないためにも今に夢中になれることを見つけましょう。
1時間早く起きる
自分のための時間を作るためには、圧倒的に朝の時間を有効活用することがおすすめです。
早朝はご飯を食べたり、身支度をしたり、それぞれの人が自分のための時間を過ごしていることが多い時間帯です。つまり、他の人に邪魔されづらいというメリットがあります。
毎日1時間早く起きて自分のための時間に使えば、年間365時間も自由に使うことができます。特に朝は脳が冴えているため、より生産的な活動を行うことができるはずです。
もし「やることがないよ」という人は以下の活動から一つ実践してみてください。
早朝におすすめしたい活動
- その日の予定を紙に書き出す
- 5分瞑想をする
- 自然を感じる道を散歩する
- 読書する
- ジムで運動する
- 暖かい飲み物を飲みながらくつろぐ
余裕のある予定を立てる
仕事でも旅行でも想定外のことが起きた時に慌てないために、余裕のある予定を立てることは精神衛生的に重要です。
昔の私は、同僚や上司に期待されたくてかなりギリギリの予定を立てていました。もちろん予定の期日までに終わるように進めていましたが。しかし時に問題が起こって期日に間に合わずに、周りに迷惑をかけると言うことがちらほらありました。
3日かかる仕事を「2日で終わらせます」と言って3日で終わらせるのと「5日で終わらせます」と言って3日で終わらせるのは成果として全く同じです。しかし、相手先の印象は全く異なるものになります。
これは仕事に限らず、誰かとの待ち合わせに遅れそうな時も同じです。「あと10分で着く」と言って15分で着くよりも「30分遅れそう」と言って15分で着いた方がまだマシですよね。
最後に注意点があります。これを同じ人に頻繁に行うと相手に「またか」と見透かされます。やりすぎないように気をつけましょう。
忙しいフリをしない
「忙しい」という言葉は今日から使わないことをおすすめします。理由は2つあります。
「忙しい」を使わない方が良い理由
- 周囲の人に悪い印象を残すから
- 新しいことや周囲の変化に気がつかなくなるから
予定していた取引先との打ち合わせに遅れて「すいません、ちょっと忙しくて遅れてしまいました。。」と言い訳をしている人がいたらどうでしょうか?あまり良い印象はないですよね。
また、「忙しい」と口に出すのもあまりおすすめできません。言霊となって実際に心に余裕がなくなって忙しさを感じるようになります。心に余裕がなくなると周囲に対する注意力が低下して物事をじっくり考えることが減ってしまいます。
何が問題かというと、新しいことや周囲の変化に気がつきづらくなってしまうからです。たとえば、子供がいつもより元気がないからケアしよう、競合他社が新しい施策を始めたから対策を練ろう、と言った変化に気がつきづらくなったりします。
そこで、「忙しい」と思ったのであれば「どうすれば楽になるのか」を考えてみてください。「課題を紙に書き出してみる」「優先順位をつける」「実はやらなくて良いものを削る」など色々と工夫できると思います。
参考文献
- PHILLIPPA LALLY, CORNELIA H. M. VAN JAARSVELD, HENRY W. W. POTTS AND JANE WARDLE. "How are habits formed: Modelling habit formation in the real worldy". European Journal of Social Psychology Eur. J. Soc. Psychol. 40, 998–1009(2010)
https://repositorio.ispa.pt/bitstream/10400.12/3364/1/IJSP_998-1009.pdf ↩︎ - 総務省統計局. 『令和3年社会生活基本調査の結果』
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/kekka.html ↩︎ - Margo Hilbrecht, Bryan Smale & Steven E. Mock. "Highway to health? Commute time and well-being among Canadian adults".ISSN: 1607-8055 (Print) 2333-4509 (Online).
https://web.archive.org/web/20171121213745id_/http://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/16078055.2014.903723 ↩︎ - G Costa, L Pickup, V Di Martino. "Commuting--a further stress factor for working people: evidence from the European Community. I. A review". Int Arch Occup Environ Health. 1988;60(5):371-6. doi: 10.1007/BF00405673.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3290112/ ↩︎