あなたは服のこだわりはありますか?私はこだわりがないため、毎日の同じ種類の服を着まわしています。
「服装というのは自分を写す鏡だ」という人もいます。人間の第二の皮膚であり、自分の個性を表現する手段の一つだと。
実際にその人が着ている服装と深層心理には関連があることを示す「スタンフォード監獄実験」という実験があります。今回はその実験を紹介し、服装と深層心理の関係について紹介していきます。
服装にふさわしい行動をとることを証明した「スタンフォード監獄実験」
今回紹介するのは1971年、アメリカのスタンフォード大学で心理学者であるフィリップ・ジンバルドーが行なった「スタンフォード監獄実験」です。1 2
このスタンフォード監獄実験では、擬似的な監獄を想定して、10人の被験者を「看守役」と「囚人役」に分けて与えられた服装と役割によって被験者がどのように振る舞うのかを調査しました。
看守役は軍服や警棒、サングラスなどの服装を支給されます。一方、囚人役となった人は実際の警察の協力を得て実験用刑務所に連行され、薄い布で作られたワンピース型の囚人服を着て監獄に入ります。
この時「看守役」と「囚人役」それぞれに対して役割について説明はなく、ふさわしい行動をとるようにといった指示も出さないようにしました。
当初の予定では、この状態で2週間後に被験者の言動にどのような変化が出るのかを調べようとしました。
結果としてどうなったのか。看守役の言動があまりにもエスカレートし過ぎて6日目で打ち切られてしまったのです。
実験1日目は自分たちの服装や期待されている役割に対して戸惑いを見せる人も多くいましたが、日数を重ねるにつれて変化していきます。
看守役は徐々に命令口調になり、囚人役は卑屈な態度をとるようになります。そしてトイレットペーパーの切れ端でトイレ掃除をさせるなど、受刑者役に対して屈辱的な行為を強要するようになったのです。
「スタンフォード監獄実験」からわかること
この実験では、被験者に対して無作為に役割を与えています。そのため、被験者の行動はもともとの性格的な傾向によるものというより、服装が持つ役割にしたがってふさわしい行動を積極的にするようになったと考えることができます。
一言で言うと、人は服装に合った言動をするようになるということです。
普段はだらしない人でも軍服を着れば厳粛たる言動をするようになり、下品な人も着物を着ると上品な振る舞いをしようと心がける心理的傾向があることをこの実験は示しています。
私は基本私服ですが、状況に合わせてスーツを着る時があります。確かに、ネクタイを締めると気が引き締まって社会人としての振る舞いに気を遣うようになるといった実感はあります。(もちろん私服だと気を遣わないわけではないですが)
服装からわかる深層心理4選
「スタンフォード監獄実験」からも服装がその人の深層心理に大きな影響を与えることがわかったかと思います。
この結果をもと服装ごとにどのような深層心理があるのか4つ紹介します。傾向の話なので一概にすべての人に当てはまるわけではない点はご了承ください。
派手な服装を好む人
- 承認欲求が強い
- 自己肯定感が高い
- 一種のアートと捉え自分の感性や美的感覚を表現したい
- 派手な服装を通じて外面にフォーカスすることで不安や空虚感を忘れたい
流行りの服装を好む人
- コミュニティに属したいという社会的欲求が強い
- 日常生活に新鮮さや刺激が欲しい
- 周囲と異なることへの恐れや、仲間外れにされることへの懸念から不安を感じやすい
服装の好みがすぐ変わる人
- 自分自身を探求している発展途上
- 同じスタイルやルーチンにすぐ飽きてしまう
毎日同じ服装の人
- 好き嫌いがはっきりしている
- 他人からの評価よりも自己の価値観を優先する
まとめ
今回は「スタンフォード監獄実験」を参考に、服装が人の振る舞いに影響を与えるのかを紹介してきました。
もし「尊敬される経営者になりたい」「良い父親になりたい」といった願望があるのであればまずは形から、その理想に沿った服装をしてみるのはいかがでしょうか。
参考文献
- フィリップ・ジンバルドー (著), Philip Zimbardo (著), 鬼澤忍 (翻訳), 中山宥 (翻訳). 『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』. 海と月社 ↩︎
- 「スタンフォード監獄実験」というヤバすぎる心理学実験とは?
https://motivation-up.com/whats/prison.html#08 ↩︎